もし将棋のない世界に生まれていたら?
大一番には強い方だと思うか。
「奨励会に入ってからは、昇段の一番は基本的に上がることが多かったので、(大一番に)そんなに弱くはないと思います。結構繊細な部分はあると思いますが。(藤井は)やはり図太いんじゃないですかね。切り替えの速さとか重要だと思います。(プロになりたいと初めて口にしたのは)自分の記憶ではあまりはっきり覚えていないんですけど、小学1年とか、それくらいから意識していた気がします。(藤井が1年早く奨励会に入ったことは)意識していたかもしれませんが、その頃に何を思ったかはあまり覚えていません」
伊藤は今も“将棋漬け”の日常を過ごしている。四段のときは1日の生活を以下のように話していた。
「研究会がある日は朝起きてすぐに向かって、夕方頃に帰宅して指した将棋を振り返って。研究会がない日は結構昼頃まで寝ていて。基本的にソフトを使って勉強しています。1日の研究時間は……数えていないので。キリがつかずに遅くなってしまうこともよくあります。昨夜も午前2時半頃に寝ました。テレビは全く観ないです。本もあまり読みません。(世間一般の出来事については?)全く興味がないですね(笑)」
もし将棋のない世界に生まれていたら?
「ああ、どうだったでしょうね。まあ普通に過ごしていたかもしれません。学校生活に馴染んでいた可能性もあります。(将棋のために学校生活を切り離していた?)まあ、そういう経緯だったかもしれません」
写真=野澤亘伸
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藤井聡太と同世代の棋士たちの姿を描いた群像ルポ「藤井時代か、藤井世代か」は、好評発売中の文春将棋ムック「読む将棋2022」に掲載されています。どうぞあわせてお読みください。