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「フランスのセッターにボールが返った時、前衛にガペ(ヌガペト)がいた。絶対に打ってくる。しかも、間違いなくインナーに打ってくる、とわかったんです。だけど、そこで自分もブロックに行っていいのか、それとも空いたスペースに落とされるんじゃないか、と迷ってしまった。

 結果的には、想像通り、絶対にここへ打つというところに打たれて決まった。負けた瞬間に思ったのは、負けた、悔しい、じゃなくて『あー、(ブロックに)行けばよかった』。やらなくて後悔が残ることがこんなに悔しいんだ、って改めて実感したんです。同じことは絶対に繰り返したくないと思うし、そうならなきゃダメですよね」

子どもたちの夢でありたい

 かつて10代の石川が己の道を貫いてきたように、自分が強くなるために最善だと信じる道を進んできた。 

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 現役大学生でありながら、世界最高峰のイタリアリーグで戦う。その選択を、一人のバレーボール選手として称賛する声もあれば、学生ならば学生の本分を……と否定する人もいる。そもそも全員が賛同してくれることなどありえないと承知のうえで海を渡った。髙橋にはたとえワガママだと捉えられてもそれを貫きたい理由がある。

「今、バレーボールをしている子どもたちの夢でありたいんです。好きなバレーボールをして、うまくなって、将来バレーボール選手になりたいと考えた時に海外という選択肢があってほしい。その道をつくること自体が大切なこと。僕も祐希さんがいなければできなかったかもしれない。

 日本代表選手というのは、それだけ影響力があり、夢を与えられる存在。しかも、それができる選手って限られていると思うんです。今、『日本のスポーツ選手といえば?』と聞いたら、たぶんダントツで大谷翔平選手じゃないですか。でも僕はそこに並べるような、“バレーボール選手の髙橋藍”になりたい。

 そのためにはイタリアで頑張ることはもちろんだし、そこで得たものを、たくさんの人に見てもらえる日本代表の戦いで発揮したい。僕は日本が勝つために強くなるし、強くなることがすべて。見てろよって思うと楽しいんです」