1ページ目から読む
2/4ページ目

 それでも本番が始まれば、これまで培ってきたものがある。不安は大きかったが、確かな自信もあった。しかしそれも初戦で打ち砕かれた。

「全然ジャンプできなかった。自分では沈み込んでジャンプしているつもりでも、実際は沈めていない。トレーニングもできていなかったギャップが、プレーのパフォーマンスにも影響していました」

 

石川が決めるべき「1本」が決められなかった

 徐々に調子は上がっていくと思うと話したように、2戦目のエジプト戦では巧みにブロックアウトを取るスパイクやバックアタックを決めた。しかし、石川が「一番悔やんだ場面」と振り返ったのは、2セットを連取した後の第3セット、23 対24とエジプトがセットポイントをつかんでいたシーンだ。

ADVERTISEMENT

 日本が追いつき、あと1点を獲ればデュースになる。そうなれば、絶対に日本は負けない――。セッターの関田誠大に代わった山本龍は3本続けて石川にトスを託した。だが、その「1本」が決められなかった。

「僕が決めるべきところで、決められなかった。むしろ、その前よりも、僕には悔やまれる1本でした」

 

 “その前のプレー”も議論を呼んだ。チャンスボールからの攻撃。ワンポイントでベンチに下がっていた関田に代わってトスを上げた石川は、一番声が聞こえたという後衛の西田有志の攻撃を選択した。だが、西田のバックアタックはネットにかかり、絶好の場面で取れるはずの1点を逃す形になった。その選択に後悔はない。それよりも、「自分が決めるべきところ」で決めきれなかったことが敗因だと、責任を痛感した。

 予期せぬ苦戦を強いられた初日と同じ展開で、大会2日目にまさかの敗戦を喫した。足早にミックスゾーンを後にする選手が多い中、最も長い時間、取材に対応したのは石川だった。そしてもう一つ、主将としての覚悟を感じ取れた行動があった。