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この調査によると、幸福感に与える影響力が最も大きかったのは、学歴ではなく、健康でした。その後、人間関係、自己決定が続き、所得や学歴はそれらを下回りました。

学歴が幸福感に与える影響に至っては、有意差が出ませんでした。

さらに、最終学歴が高いことよりも、自分の意志で人生の進路を決定したかどうかが幸福度に直結するという調査結果もあります。

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※「生活と職場での満足感と行動変容能力――日本における実証研究」(独立行政法人経済産業研究所 西村和雄・八木匡)

欧米の調査でも、同様の結果が出ています。学歴が高かったからと言って、必ずしも幸せになれるとは限らないという、ある意味、当然の結論です。しかし、学歴が低いと不安だという気持ちを手放せない人が多いのも現状で、かくして「教育産業」は、子を持つ親の不安を煽るメッセージを流し続けているのです。

本書の目的は、「勉強しなければ」という不安感ではなく、「学ぶことの楽しさ、素晴らしさ」を社会に広めていくところにあります。

人生100年学習社会に必要なインフラは整ってきています。あと必要なのは、私たち自身が、古い教育観から脱却して新しい「学習観」に立つことなのです。

本間 正人(ほんま・まさと)
NPO学習学協会代表理事、京都芸術大学客員教授
「教育学」を超える「学習学」の提唱者。アクティブ・ラーニングを30年以上、コーチングを25年以上実践し、「研修講師塾」「調和塾」を主宰。NHK教育テレビでビジネス英語の講師などを歴任したほか、企業や官庁の管理職や教員・医療関係者対象の研修講師を務めてきた。現在、らーのろじー(株)代表取締役、一般社団法人クロスオーバーキャリア代表理事、一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会理事、NPOハロードリーム実行委員会理事などを務める。誰もが最新学習歴を更新し続ける「ラーニングコミュニティ」「学習する地球社会のビジョン」構築を目指す。コーチングやほめ言葉、英語学習法、などの著書多数。東京大学文学部社会学科卒、松下政経塾(3期生)を経て、ミネソタ大学大学院修了(成人教育学 Ph.D.)。