人生100年時代、誰もが、学び続けるのが自然であると感じられるような、「100年学習人生」が普通になってほしいと、心から願っています。
今、20歳以下の日本人はかなりの確率で100年以上生きるということが予測されています。そのため、100年時代に備えた医療、介護、福祉、街づくりを行っていかなければならないと、さまざまに議論されていますが、「100年学習社会」を、その中軸的な柱にすべきだと考えます。
「最新学習歴」と「最終学歴」の違い
最新学習歴という言葉には、「最終学歴」との対比の中で、いくつか重要な意味があります。
第一に、「最終」ではなく「最新」であるということ。
人生に「学び終わり」があってはならない。あるはずがない。なぜなら、人間は生きている限り、学び続ける存在だからです。特に、社会の変化の速度が速くなっている現代社会では、学び続けることがとても重要です。
最近、リカレント教育やリスキリングが注目を集めているのは、そういう意味で、よい傾向と言えます。でも、学習は、それだけではないと感じている方も多いはずです。「最新学習歴」という概念は、社会人の学習を、いわゆるビジネススキルに直結したものに限定しません。
最新学習歴という言葉の、「最終学歴」との対比の中で、重要な意味のもう一つは、「学歴」ではなく、「学習歴」であるということです。学歴とは、教育基本法の第1条に定められた学校を卒業、あるいは修了した場合に獲得できるものです。これに対して「学習歴」は、人生の中の、ありとあらゆる学びを含みます。
他者と比べず「自己ベスト」を更新する
「学歴」が示すのは、冒頭で示した図表1のごく小さな一部であるのに対し、「学習歴」は外側の長方形、つまり、人生のすべてを指します。後で詳しく述べるように、仕事も、家事も、子育ても、終活も、看取りも、すべてが学習です。
重要な意味の第三は、「最新」は、学習者にとっての「最新」であるということ。ともすれば、「新しい」という漢字に引っ張られると、最先端の科学技術や国際社会の動向などに意識が向くかもしれません。こうしたアップ・トゥ・デートな知識も対象になりますが、たとえば、ギリシャ哲学や中国古典、仏教や伝統文化・芸能、工芸などを学ぶことも、その人にとって初めてのことであれば「最新」の学習です。