日本では就職や職場での処遇の際に学歴が重視される。京都芸術大学客員教授の本間正人さんは「人生100年時代なのに、22歳までに受けてきた教育だけが過剰に注目されている。最終学歴には『要領のよさ』がかなり影響していて、資格・学位に見合った実力が備わっているかは大いに疑問だ」という――。
※本稿は、本間正人『100年学習時代 はじめての「学習学」的生き方入門』(BOW BOOKS)の一部を再編集したものです。
一生の中で学校教育の時間は…
さて、図表1を見てください。これは人生の中で学校教育の占める範囲を表した図です。
横軸が年齢、左端が生まれたばかりの0歳、そこから20歳、40歳、60歳、80歳、100歳以上となっています。
縦軸は時刻を表します。一番上が真夜中の0時、中央がお昼の12時、一番下が真夜中の24時です。長方形に囲んだ部分が一人の人生を表します。
小学校1年生は6歳の8時半から始まって15時くらいまで。12歳までが小学校、15歳までが中学、18歳までが高校、その後、短期大学、4年制大学、大学院などに進む人もいます。
なぜ「最終学歴」だけが注目されるのか
しかし、長い人生の中を見通してみると、学校教育の「箱」というのは、意外と小さく感じられないでしょうか?
しかも、土曜日、日曜日、国民の祝日、さらに、夏休み、冬休み、春休みがありますから、この箱の中には、かなりの隙間が空いています。学校暦は、一年を52週でなく、35週で計算するのです。
ここに引かれた縦の線が、ある人の「最終学歴」と呼ばれます。
厳密に言えば、教育基本法の第1条に定められた学校種を卒業、あるいは修了した場合に、学歴を獲得できるのです。就職しようと思えば、履歴書の所定欄に記入することになっていますし、人物紹介の「プロフィール」にも、記載するのが一般的です。
全体の中のごく一部である22歳までに受けてきた教育だけが、過剰に注目されてきているとは感じませんか?