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この小説は、賛否両論あっていい
「この世界には多くのプロスポーツが存在します。プロですから、お金の存在が重要だという共通認識のもと、エンタメとして私たちを愉しませてくれています。一方で、オリンピックは、プロスポーツの価値観とは違っていてほしい、と願っていました。今作では、グローバル企業が、ある方法で、国際的なアマチュアスポーツ大会を開催しようとします。現実的には難しいかもしれないですが、できないわけじゃないと思っています。
後は、開催地の問題ですね。開催が決まれば、税金が投入され、それがどう使われたのかは、私たちが納得するように明示されない。こうなってくると、開催を望む都市はほとんどないのではないでしょうか。
オリンピックを運営する組織と、関連企業と政治――この関係性だけで開催地が決められていく。こういったことへの提言も込めています」
オリンピックを潰すための国際大会「ザ・ゲーム」を画策する組織。参加するのか、しいないのかの狭間で、揺れる現役アスリートの心情。スポーツの為に何ができるか、という使命にかられるOB選手たち。
オリンピックの価値観を信じる記者は、「ザ・ゲーム」の暗部や黒幕を明かそうと、世界中を飛び回るが……。
「東京五輪とは何だったのか。本作は、私にとっての『挫折』の記録でもあります。この小説を最後に、もうスポーツを描けなくなってもいい。そんな覚悟で書きました。賛否両論含めて、反響があるといいなと願っています」