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「虹はなぜ七色なの?」「あなたはどう思う?」…幼子が返した“あまりに美しい回答”とは

『孫のトリセツ』より #3

6時間前

genre : ライフ, 教育, 社会

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 人間のコミュニケーションには、2本の通信線がある。「心の通信線」と「事実の通信線」だ。心は受け止めて、事実(ことの是非)はクールに進めるのが、対話の達人である。

「わかるよ、君の気持ち」と受け止めたあと、「でもね、相手にしてみたら受け入れがたいかも」とダメ出しをし「こうしたら、スムーズだったんじゃない?」とアドバイスをする。他人にそれができる人でも、家族には、いきなり「何やってんの。お前も〇〇すればよかったんだよ」とダメ出しする人が多い。

 前者は、心理的安全性が確保される対話、後者は心理的安全性が損なわれる対話ってことになる。

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なぜなぜ期は「問いを立てる力」の芽が出るとき

 AI時代を生きる人類に最も必要なのは、「問いを立てる力」だと言われている。AIはなんにでも答えられるから、つまらない質問にはつまらない答えを返してくる。通りいっぺんの優等生の質問には、通りいっぺんの優等生の答えが返ってくる。そんな情報、もらってどうするの?って話。

 AIはたしかに、思いもよらないアイデアをくれるけど、その人にしかできない質問をしない限り、その人にしか見つけられない答えをくれないのである。

 というわけで、生成AIがビジネス利用されるようになった今、生成AIを使う人たちの「問いを立てる力」が問われている。これを受けて、日本の教育に「問いを立てる力」が足りないと指摘する人も増えてきた。

 私も、問いを立てる力は、AI時代を飛び越えていく翼だと思っている。好奇心+発想力+対話力=問いを立てる力。つまり、脳の感性の総合力だもの。ただし、問いを立てる力は、学校教育で手にするものじゃない。家族との会話で育むものだと、私は考えている。

 問いを立てる力の萌芽は、幼子の「なぜ?」にある。2歳のイヤイヤ期を過ぎてしばらくすると、子どもたちは「なぜ?」「なぜ?」と質問を繰り出すようになる。そのピークは4歳ごろ。「なぜ、空は青いの?」「なぜ、ポストは赤いの?」「なぜ嘘はついちゃいけないの?」「なぜ、ママのおなかは出てるの?」-見たもの思いついたこと、なんでも聞いてくる。

 質問の回答に、さらに質問を返してくるのも、なぜなぜ期のすごいところ。「なぜ、パパのハンバーグは2個なのに、ぼくのは1個なの?」「あなたが小さいからよ」「なぜ、小さいと1個なの?」「小さいと食べられないからよ」「なぜ小さいと食べられないの?」……これじゃ、親がイラつかないわけがない。