普段何気なく掛けているメガネ。身近なツールである一方で、街で見かけるショップやメガネの専業メーカーがどのようなスタンスで、どのようなビジネスを展開しているかまでは案外知らない人も多いだろう。そこで、今回は“メガネをビジネスする”をテーマに業界の最前線で活躍する経営者に連続インタビューを敢行した。

 今回インタビューを行なったのは、メガネ・サングラスの企画やデザインを行なうオプテックジャパン代表取締役社長の山本典之氏。社名は知らなくとも、「OLIVER PEOPLES(オリバーピープルズ)」や「EYEVAN 7285(アイヴァン 7285)」など、彼らが手掛けるブランドの名を聞けば、ピンとくる人も少なくないだろう。フレームの低価格化が進んだ昨今において、同社は日本のメガネ産地・鯖江の技術を駆使した付加価値の高いオリジナルブランドで日本、そして世界の市場にチャレンジしている。

オプテックジャパン株式会社・山本典之社長

メガネをかける女性がグッと増えた

――メガネ業界はこの10年で大きく変化しました。この変化についてはどうお考えですか。

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山本 レンズ込みの価格を打ち出すスリープライスのような業態が多店舗展開され、単価が非常に下がりました。マーケットは縮小しましたが、一方で我々がポジティブに捉えているのは、メガネをかける女性がグッと増えたということです。

――たしかに、女性誌でもメガネを使ったスタイリングをよく目にするようになりました。

山本 さらにこれは日本だけの傾向なのですが、メガネを視力矯正器具としてだけでなく、フェイスアクセサリー、いわゆる「伊達メガネ」として使う方がとても多くなりました。街を歩いていても、本当にメガネやサングラスをかけている方が増えてきたなと実感しています。

 そのなかで我々は高価格帯のアイテムを手掛けているわけですが、そのエントリーとしてメガネというものが非常に身近になった10年だったと思っています。

 

――マーケットは縮小するも、より身近なアイテムになってきているということですね。

山本 はい。なかでも、やはり日本はファッションアイテムとしてのマーケットがあるというのが特徴的です。欧米は基本的にメガネを実用的なものとして捉えているので、伊達メガネとしての使用はほとんどなく、伊達メガネを意味する英語もありません。度なしのクリアレンズを入れて購入される方が多いのは、欧米との大きな違いですね。