「新トリックの成功」がメダルを左右するキーポイント

 だが他2人の代表も十分にメダルを狙える。安定感ならば15歳の赤間凛音。出場した五輪予選大会は全て決勝進出、有明での世界選手権では6位と順位が低かったが、鎖骨と骨盤(腸骨)の骨折から復帰間もない時期というのも影響したように思う。つまり有明以外は全て4位以上なのだ。

 そんな赤間と他選手の違いは、コンテストではあまり見ることのないトリックを得意としているところ。今や自身の代名詞となったバーリーグラインドなど、ボードと共にお腹側に回転するフロントサイド180というトリックを応用した動きがそれに当たる。本番でもこのバリエーションを武器に金メダルを狙いにいくだろう。

 前回大会の銅メダリスト、中山楓奈も可能性は十分だ。彼女の出場権獲得も吉沢と同じくブダペスト大会のベストトリック最終試技でヒールフリップ・バックサイドリップスライドというトリックを初めて成功させて、3位に滑り込んだことが決め手になっているのだが、両者に共通していることはどちらも初出しのトリックを成功させていることだ。

ADVERTISEMENT

中山楓奈 ©︎Yoshio Yoshida /World Skate

「新トリックの成功」がメダルを左右する大きなキーポイントとなってくるだろう。女子ストリートは東京五輪銀メダリストのブラジル代表ライッサ・レアウと、その後に出てきたオーストラリアの新星、クロエ・コベルが日本勢の最大のライバルになると言われている。

 解説は、3年前に“ゴン攻め”が流行となった瀬尻稜。運命の戦いは日本時間27日の19時に男子予選、24時もしくは28日0時に決勝、28日19時に女子予選、24時もしくは29日0時に決勝がスタートとなる。