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「不安を不安と思うときりがない」

 しかし“具体的な話は”と聞かれたりえさんは、真剣な表情になって「やっぱりこれからのことが一番。あの、最終的にはそういう話になったりしますね」とコメントした。それを貴乃花は口元に力を入れ、口角がやや下がった表情で聞いていた。将来に対する不安はこの時から強かったのだろう。

©︎時事通信社

“相撲取りの生活について話しているか”と聞かれた時は、貴乃花が「一緒に(生活)しないと、口で言っても生活感が違うと困りますから」と回答。“その生活に不安はないか”と聞かれたりえさんは、何かを探すように視線を左右に動かし「不安を不安と思うときりがない。きっと大丈夫だと思います」と明るくにこやかに答えた。不安はあるが、その正体が何かは見えていないのだろう。

 藤島部屋を初めて訪れた時の感想についてりえさんは「すごくアットホーム」「すっごく素敵な家族」と何度も頷きながら嬉しそうに語った。

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 しかし“花田家から引き継いでいきたいものは”と聞かれた貴乃花は、自分の方を見上げたりえさんを見ることなく、「師匠と女将さんの家庭を引き継いでいきたい」と答える。りえさんはずっと貴乃花の方を見ていたが、貴乃花自身は前を向いたままだった。

未解決だった「りえさんが仕事を続けるかどうか」

©︎時事通信社

 会見も終わりに近づき、誰もが知りたかった“芸能界の仕事をどうするか”について質問が飛ぶ。明るかったりえさんの顔がさっと真顔に戻り、貴乃花がおしぼりで鼻をぬぐい、水を飲んだ。貴乃花の仕草から彼の緊張が読み取れる。「りえさんが仕事を続けるかどうか」が2人にとって未解決の問題であったことは確かなようだ。

 2人は視線を合わせず、りえさんは「相談しながら、2人がベストな状況でいられるよう。引退するとかしないとか、2つの道を選ぶことができていない。挙式までに決めたいと思う」と答えて唇を巻き込むように隠した。引退に関しては、不安や心配が大きかったのだろう。

 だが、それを聞いている貴乃花の表情はむすっとしていた。

 続けてレポーターが“今の2人があるのは若乃花(当時は若花田)関のおかげか”と聞くと、りえさんはパッと表情を明るくしたが、貴乃花の口元はますますきつくなり、唇を突き出していた。引退を明言しないりえさんの言葉に内心で不満を感じていたように見えた。

 電撃婚約した2人はこの2カ月後、破局を迎えることになる。