スパイとしてX取締官と電話やメールで密に連絡を取り合い…
X取締官とは電話やメールで密に連絡を取り合った。エスとしてバレないよう、会う場所は麻薬取締部の事務所を避け、コメダ珈琲店やモスバーガーなどのチェーン店がほとんどだった。手に入れた薬物のサンプルを渡したのも、そうした場だった。
焼肉屋にも2回行き、酒を酌み交わした。領収証は取締官側が受け取り、「麻薬取締活動費」として決裁を上げたと、後に公判で明かされた。
2人は親密な仲となり、カルロスからバレンタインのチョコをプレゼントしたことさえあった。残されたメールのやりとりからは、その蜜月ぶりが読み取れる。
(2014/10)
カルロス「居酒屋行きましょう(笑)おやすみなさい。」
X取締官「居酒屋で申し訳ないです 行きましょう。美味しいとこ探しときます。」
(2014/12)
X取締官「お疲れ様です。ソウルからそろそろ戻る頃と思って。冷麺美味しかったですか?また連絡しますね」
カルロス「鋭いですわー。今さっき戻ったばかりです。まるで背後で見ていたように。さむ。また連絡ください。」
(2014/12)
カルロス「●の息子から連絡入り今日夕方保釈されるそうです。またダブルで長く行ってもらいましょう。」※ダブル=保釈中に別事件でも検挙する
X取締官「その方向で。よろしくお願いします。」
(2015/3)
カルロス「遅くなりました、すいません。ヤサわかりました!●●号線沿いにあるスーパー●●の向かい側らへんのマンションです。
(中略)昨日の夜に●●の方に仕入れに息子と行って帰ってくるので今、結構な量持ってると思われます。」
エスとして計10組の密売グループの捜査に協力
カルロスが捜査対象者の密売人に接触し、その間に張り込んでいる取締官が密売人の顔写真を撮影するということもあった。そうした際、X取締官は「バッチリ撮れました。ありがとうございます」と感謝するメールを送っている。カルロス自身が相手の隙を見て撮影することもあったという。
また、密売人と接触した際、スマートフォンを通話状態にしてX取締官に会話内容を聞かせることもしばしばだった。
カルロスによると、エスとして計10組の密売グループの捜査に協力した。危険を冒して覚醒剤の仕入れ先だった中国・深圳へ潜入捜査したこともある。カルロスが香港に着き、深圳で入国審査すると伝えると、X取締官はこんな、安心させるようなメールを送っている。
「すごいですね。全く大丈夫と思いますが、道中くれぐれも気を付けてください。無事の帰り待ってます」
INFORMATION
情報提供やご意見は以下にお寄せ下さい。
shuzai.information@kyodonews.jp