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「バレーコートで言えば2200枚分ぐらい」33ヘクタールの水田を耕作

――農業は、大学以上に大変そうですね。自然が相手だから智慧が通じないことも。

中垣内 バレー以上に難しい。ただ、一人でやっているわけではなく、4人で回しているので、大学に出勤前の早朝、休日、あるいは夏休みに一気にやるという感じです。うちは科学肥料を使わない特別栽培米なので、結構手間暇がかかるんですよ。

 それに農機具代がべらぼうに高い。コンバインは2200万円もするし、トラクターは1300万円。トラクターに付けるアタッチメントが300万円~400万円。コンバインと合わせるとそれだけで4000万円。それでも10年持つかどうか。僕らだけでなく、日本の米農家は機械を買うために働いているようなものです。

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 今は、33ヘクタールの水田を耕作しています。

中垣内さんがプロデュースするお米ブランド「日」のHPより

――33ヘクタール! 規模が大きすぎてイメージできません。

中垣内 バレーコートで言えば、2200枚分ぐらい。それでも利益をキチンと上げるためには3倍ぐらいの面積が必要。できれば、7~8倍ぐらい欲しい。とはいってもそれは現実的ではないので、農業法人を設立し、ブランド米を作って勝負しようとしています。

 流通経路も自分たちで開拓し、地元スーパーや食品会社などに営業にも行くことも。今はコシヒカリ、イチホマレ、ふくむすめ、ピカツンタ、アキサカリ、ハナエチゼンという品種を作っていますが、基本的には、自分で食べておいしいと思えるお米を、安心安全な農法で多くの食卓に届けたいという一心ですね。

 ご存じでしょうか。スーパーには多くのブランド米が並べられていますが、それは流通業者が色んな農家からのお米をブレンドして出しています。色んな作り方をした米を混ぜてしまっている。

作った人の顔が見えるお米はおいしい

 僕は農業を本格的にやろうと思った時から、おいしいと言われるお米をずいぶん食べましたけど、本当においしいお米って、ブランド米ではなく、誰が作ったかなんです。その農家さんのこだわり。もちろん、ロケーションもありますけど、単一蒸留所で醸造されるウイスキーのシングルモルトのように、作った人の顔が見えるお米を買えば間違いないです。

 僕もそういう米作りを目指しています。うちのお米はネットでも買えますよ。「農好社」を検索していただければ。

 うすうす感じていましたが、実際に就農してみると日本の農業は問題が多いし、闇が深い。このままでは将来的に米作農家が減っていくのは目に見えています。いずれ、おいしいお米が日本の食卓に届かなくなる日が来るのではと懸念しています。