1ページ目から読む
3/3ページ目

――中垣内さんが男子バレーを変えたように、日本の農業問題にも着手していくんですか。

中垣内 いやいや、僕のようなひよっこ農家が言っても誰も耳を貸してくれません。とにかく安くておいしいお米を安定して届け、評価を高めないと、僕自身も自信を持って発信できないですからね。ですから一人前になるまでは、黙々と田んぼと向き合います。

「農好社」のインスタグラムより

 話が変わりますが、今の日本代表選手はセルフプロデュースが本当に上手いと思う。プロとして活躍するために、あるいはお金を稼ぎ続けられるために何をどうするか、自分をどう見せるかという最適解が分かっている。

ADVERTISEMENT

 僕も現役時代にそんな知恵があったらまた違う人生があったかなと考えたこともあるけど、せっかく彼らに学んだセルフプロデュース術を、今度は自分が作ったお米に生かしていきたい。

1992年バルセロナ五輪。1メートル以上のジャンプ力を武器に、90年代を代表する“スーパーエース”となった現役時代の中垣内さん ©時事通信社

 僕が米農家に転身してから、フィリップから「お米を送って」という催促もありました(笑)。彼らはパリには炊飯器を持って行くと聞いたので、僕が作ったお米を送るつもりです。選手の胃袋に入って彼らを応援できたら最高じゃないですか。

 もし金メダルを獲ったら、うちのお米の宣伝にもなりますし(笑)。