「その瞬間を求めている」辛い練習を続けられた理由

――辛い思いをしながらも続けられた理由は、なんだったのでしょうか?

RAM ブレイキンを通じて、世界がどんどん広がっていく感覚があったんです。年齢も性別も違う友達ができたり、仲間と一緒にひとつの目標に向かって頑張ったりと、学校に通うだけではできないような経験がたくさんできて、刺激になりましたね。

 また、これまでできなかったことが突然できるようになって、みんなの前でうまく踊れた瞬間は、本当に嬉しいんです。思うようにいかないときは不安だし辛いけど、「その瞬間」を求めているときの緊張感は、たまらないんですよ。

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――ブレイキンにのめり込むようになったのは、いつ頃から?

RAM 「もっとブレイキンをがんばりたい」と思い始めたのは10歳の頃です。その頃、初めてバトル(向かい合って交互に踊り、勝負を決める)に出たんですよ。

 ルールは曖昧にしか理解していないし、どんな人が参加するのかもよくわからないまま舞台に立ったら、案の定、予選落ちして。ものすごく悔しくて、そこからスクールのレッスンも、練習も増やしていきました。

世界的ダンスチームのスクールに入学してダンス漬けの生活

――大会での優勝や、世界を意識し始めたのは。

RAM 「世界」を意識し始めた時期は、はっきりとは覚えていません。でも、中学生の頃には「やるからには、世界を目指したい」と考えるようになっていました。中学3年生のとき、母に頼んで世界的ダンスチーム「THE FLOORRIORZ」が運営するスクール、「THE FLOORRIORZ ACADEMY(現:BREAKING ACADEMY)」に入学。その頃は、学校と食事とお風呂と寝る時間以外はダンス漬けの生活を送っていましたね。

高校時代のRAMさん(右)と、パリ五輪日本代表に選ばれている「Shigekix」こと半井重幸さん ©時事通信社

「自分がやりたいから、ブレイキンを頑張る」と思うようになったのも、この頃からです。日々の練習の積み重ねや試合での勝ち負けを繰り返して、少しずつ世界を意識するようになっていきましたね。