悪循環を乗り越えられた“きっかけ”
――今はブレイキンとどのように向き合っていますか。
RAM 一時期のような悪循環は乗り越えられました。それは、「メンタルトレーニング」を始めたことがきっかけのひとつかもしれません。
メンタルトレーニングをしていく中で、自分の一番の敵は自分だって気がついて。競技だからもちろん戦う相手はいるけど、まずは、自分に勝たないと先に進めないなって思ったんです。
今振り返ると、あの頃の私は自分を信じてあげられてなかった。「失敗するかも」「負けちゃうかも」と思いながらバトルしていました。世界を目指して頑張ると決めたなら、それに向かって走りきらなきゃいけなかった。一度も振り向かずに走りきれたら、万が一結果は出なかったとしても、後悔はしなかったと思うんですよね。
それに気づいてからは、マインド面ですごく変化があって。周りにどう見られるかじゃなくて、自分が納得できるダンスを追求できるようになりました。そしたら、先日開催された世界的なブレイキンバトルイベント「Red Bull BC One」の予選で、東京代表に選ばれて。本選で負けてしまい日本代表にはなれなかったのですが、自分らしいダンスで次につながる結果が出せるようになったのは、嬉しかったですね。
今までの経験から、子どもたちに伝えたいこと
――最後に、今後の目標を教えてください。
RAM まずブレイキンの話で言うと、私なりに世の中に浸透させる手伝いができたら、と思っています。SNSでブレイキンの魅力を発信したり、今日のように取材を受けたり。あとは他の競技の人たちとの交流も増やしていきたいです。
もっと個人的な話で言うと、子どもたちの背中を押す活動がしたいです。実は、今年の4月から公立小学校で非常勤講師をしています。ブレイキンを続けながら先生として働くのは、体力的に大変なことも多い。それでもいつか、クラスの担任になりたいなと思っています。これまでの経験から、「1回でもいいから、何かをやり遂げることの大切さ」を子どもたちに伝えたいんです。
ブレイキンをする中で、辛いことや落ち込むこともたくさんありました。それでも続けていくうちに、自分のことを好きになれたな、と思っていて。その経験を、子どもたちにもしてほしい。ダンスじゃなくて、他のスポーツでも、勉強でもなんでもいい。子どもたちが、何か1つ頑張れるものを見つけるサポートをしたいんです。目標実現のためにも、学校の先生もブレイキンも、どちらもまだまだ頑張っていきます!
撮影=平松市聖/文藝春秋
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