河村を育てたBリーグの存在
1つ目が、2016年に誕生した日本のプロバスケットリーグであるBリーグのシステムの恩恵を最大限に受け、成長してきたからだ。
BリーグではサッカーのJリーグに習って、高校生や大学生が一般企業へのインターンのような形でプロの試合に出場できる制度がある。河村は2020年の1月、福岡第一高校在籍中、3年生の終わりにこの制度を使って、Bリーグの試合に出場。当時のBリーグの最年少出場記録と最年少得点記録を打ち立てた。
「才能のある選手には、若いうちから高いレベルを経験させることが成長につながる」
それがスポーツの世界の常識だ。あの時点でプロ選手たちに混ざってプレーした意味は大きかった。また、高校卒業後はバスケの名門・東海大学へ入学し、大学1年と大学2年時にも、同制度を使ってプロの試合に出場。そして、大学2年の終わりにさしかかった2022年3月には大学を中退して、プロの世界で生きていくと発表。同年7月に代表デビューを果たし、現在に至る。
このように、日本に待望のプロリーグが誕生した恩恵を高校時代から受けた選手の筆頭が河村なのだ。そして、若くしてプロのレベルでプレーした経験が飛躍的な成長につながった。
日本バスケットボール界に初めて五輪メダルをもたらしたホーバスHCとの出会い
2つ目が、身長の低い選手の長所に目を向けてくれる指揮官との出会いがあったからだ。
現在の男子の日本代表の指揮を執るトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)は東京オリンピックで、女子の日本代表を率いて2位になり、日本バスケットボール界に初めてメダルをもたらした。
それまでの女子の日本代表は海外のチームに比べて高さで劣っていたために、ゴール下の攻防を強いられ、そこで屈していた。それが世界大会での上位進出を阻んでいた。
そんな状況をホーバスHCが打ち破れたのは、そのキャリアとも関係している。