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《身長172cm》“背が低すぎる”河村勇輝(23)はナゼ活躍できるのか…“小さな選手”がバスケで輝くための“3つの秘策”

パリオリンピック バスケットボール男子

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「コーチのなかには身長が低いというだけで、『この選手を起用するのはやめておこう』と判断する人もいます」

 ホーバスHCの考え方が異例なのだ。身長が低いからといって切り捨てるのではなく、プラスの面に目を向けられるのだから。

夢や目標を具体的に細部まで描ける能力

 確かに、河村は中学時代から各年代で日本のトップレベルの選手であり続けた。しかし、ホーバスHCのような柔軟な思考を持つ指揮官と出会えなければ、大活躍をするチャンスをつかむのはもう少し先になっていたかもしれない。

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©JMPA

 3つ目が、夢や目標の細部まで具体的に描いて、行動する能力が高いからだ。現代風に言えば、解像度の高い夢や目標を描ける能力が河村にはある。

 その資質を作るうえで大きな役割を果たしたのが、父の吉一さんの存在だ。吉一さんはNBAマニアで、自宅にはNBAのビデオが山のようにあった。小学生時代の河村は、絵本の読み聞かせをしてもらった子供が眠りにつくかのように棚に並んでいるバスケットボールのビデオを寝る前にひとつ選び、それを見ながら眠りにつくことが多かったという。

 ただ、吉一さんは熱血指導をするわけではなく、どちらかといえば、愛息の成長を見守るタイプだった。だから、河村少年は成長するために自分の頭で考えないといけなかった。

 現在の河村はスピードを活かしたドリブルが持ち味なのだが、それも幼少期に与えられたヒントが活きた。日本人として初めてNBAでプレーした田臥勇太の映像も河村家にあったのだが、当時の河村はこんなアドバイスをもらっている。

「田臥選手は普通に走るよりも、ドリブルをしながら走るほうが速いらしいよ」

 それを聞いた河村はドリブルをしながら速く走るためにはどうしたらいいのかを考え、練習をしていった。そこで気づいたのが、ボールを地面に強く打ち付けるドリブルをすれば、スピードに乗って進めるということだった。

 現在の河村はNBAで活躍する2m超えの選手たちをドリブルでやすやすと置き去りにするが、そうしたプレーを磨いたのがこの時期だった。

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