7月5日 千代田区・弁当販売 (午前11時~午後1時)
「マップで探す」なる機能をアプリに発見し、会社から近いバイトを探した。お昼時になるとオフィス街で屋台を開き弁当を販売している人がいるが、そのバイトが多い。見るからにワンオペだが、あれもタイミーさんがやっているらしい。
アプリの申し込み欄には〈事前に確認お願いします!〉と、パラソルやのぼりの立て方、お弁当の渡し方、呼び込みの仕方などを解説する5分程度のYouTube動画と、Googleドライブにアップされたマニュアルがあった。申し込んだあと、これは業務時間だろ、と思いながらも視聴する。
当日、指定の場所に行ってみると、予想通り誰もおらず、代わりに道路の端に組み立て前の屋台が置いてあった。36℃の猛暑のなか、パラソルをたてたり、日替わりメニューの案内を貼ったりして設営。
案内動画では、〈明るく! 元気よく! 「おつかれさまでーす。炊き立てご飯のおべんとうでーす」と声を絶えず出し続けてください!〉との無茶な要求をされていた。生まれてこの方、大声を出さずに生きてきたので、生来の蚊の鳴くような声でしか呼び込みできない。サラリーマンたちの怪訝な目に晒され恥ずかしかったが、タイミーさんは成長する。時計が正午に差しかかる頃、吹っ切れてきて自分なりの大声を出せるようになっていた。
昼休みになり、ビルから吐き出されてきたビジネスカジュアル姿のサラリーマンに「美味しい?」と声をかけられる。食べたこともないのに「めっちゃ美味しいです!」と答えた。
「今日は卵焼き入ってる?」
「分かりませんけど、多分入ってるかもしれないです!」
マニュアルにない様々なことは全部笑ってごまかした。12時前からどんどん売れ始め、12時25分くらいには完売! 電話で嬉々として担当者に報告すると、「では店じまいして35分に上がってください」との指示が。予定よりも早く売り切ってしまうと労働時間が減り、バイト代も減ることにようやく気付く。
早めに仕事が終わったので、他のバイトを入れようと思って応募すると、エラー表示が出てきた。タイミーは1日1件しかバイトに申し込めない。いくつも掛け持ちしてしまうと、長時間労働などの勤怠管理が難しくなってしまう、との理由だった。
(バイト代:時給1350円 計2138円)