(中略)過去にガソリンが使われた事件を参考にした放火殺人という手段は、性格の傾向や考え方、知識などに基づいて被告がみずからの意思で選択したもので、妄想の影響はほとんどない。

(中略)犯行を思いとどまる能力が多少低下していた疑いは残るものの、よいことと悪いことを区別する能力や、その区別にしたがって犯行を思いとどまる能力はいずれも著しくは低下していなかった。

(中略)36人もの尊い命が奪われたという結果はあまりにも重大で悲惨だ。炎や黒煙、熱風などに苦しみ、その中で非業の死を遂げ、あるいは辛くも脱出したものの生死の境をさまよった被害者たちの恐怖や苦痛などは計り知れず、筆舌に尽くしがたい。36人の従業員は設立当初からのベテランや京アニに憧れアニメーターになるため入社したばかりの人など、全員一丸となって丁寧に愛情をもってひとつひとつの作品を制作していた将来への希望を持つ方々で、無念さは察するに余りある。遺族たちの悲しみ、苦しみ、喪失感、怒りは例えようのないほど深く大きく極刑を望むことも当然だ」

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 そして、最後に「被告は心神喪失の状態にも心神こう弱の状態にもなかった」として、青葉に対して「死刑」を宣告する。

判決後に青葉が「語った言葉」

 青葉の弁護士は26日、判決を不服として大阪高裁に控訴した。同日、朝日新聞の記者・戸田和敏氏が、青葉に大阪拘置所でインタビューを行い記事にしている。

──判決から1日経過したが、いまの心境は

「自分がやったことの責任はある。重く受け止めたい」

──法廷で死刑と聞いた瞬間の心境は

「人間なので、やはり極刑を下されてショックを受けないことはない。厳粛に受け止めたい」

──控訴して裁判を続けていくつもりか