日本は麺食文化のある国であり、製麺屋が多数存在している。乾麺やインスタント麺を作る製麺屋、そうめん専門、一般家庭向けに大規模に小売りする製麺屋、家族経営で細々と小売りする街の製麺屋......。そして、中には立ち食いそば屋に卸売りしている中堅の業務用製麺屋というのもある。

 今回は立ち食いそば屋の業務用麺類製造卸として有名な「むらめん株式会社」を訪問し、その知られざる姿を少しだけ見てみようという企画である。個人的には長年取材したいと考えていた会社である。

創業当時の村井製麺所 写真提供=むらめん株式会社

創業76年の「むらめん」は東京一円の立ち食いそば屋を席巻している

「むらめん」は昭和23(1948)年、愛知県岡崎市で製粉製麺工場を創設することから始まった。昭和35(1960)年7月に東京都世田谷区にて「有限会社むらい麺店」を設立し、手打うどんを中心に製造販売。昭和50(1975)年7月に「株式会社むらい麺店」に社名変更。

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 さらに平成2(1990)年7月に世田谷区用賀に新工場を建築移転し「むらめん株式会社」(以下「むらめん」)に変更し現在に至っている。

 長年の実績だけでなくその親しみのある名称から、近年、「むらめん」はたくさんの立ち食いそば屋でダントツで使用されるようになっている。東京23区内・多摩地区、神奈川県なら川崎・横浜・相模原地区まで配達範囲である。

用賀駅から徒歩15分ほど

「むらめん」を使用する立ち食いそば屋の人気店は数多くある。 

 たとえば、7月に虎ノ門から茅場町に移転した「峠そば」、文京区小石川にある厚肉そばが有名なチェ―ン店「豊しま」(他都内2店)、新橋駅前ビルの人気店「丹波屋」、中野駅前の「田舎そば かさい」、高円寺の人気店「江戸丸」、新宿西口の古参店「新和そば」、都内チェーン店として人気のある上目黒「吉そば」(他都内10店舗)、桜木町駅前で人気の「川村屋」など、列挙すれば限りがない。

「むらめん」はなぜこんなに人気なのだろうか。本社へお邪魔して話を聞いた。