立ち食いそば屋から大学の学食まで...幅広く愛される「むらめん」に潜入!
本社および工場は東急田園都市線用賀駅から歩いて15分程のところにある。瀬田貫井線を桜新町方向へ進み、坂を上って砧公園通りを左折ししばらく進んだ右手に現れてきた。
工場の隣のマンション1階がオフィスになっており、伺うと大勢の女性陣が忙しそうに電話対応をしている真っ只中であった。時間は午前11時。業販部長の逸見直樹さんと業務販売部の永峯壮馬さんからさっそく話を伺った。
「むらめん」はどんなところに納品しているのだろうか。「むらめん」は業務用麺類製造卸で、つまり小売りはしていない。現在の納入比率は、そば店(立ち食いそば屋、そば専門店など)が3割、らーめん店が3割、産業給食(企業社内食堂、公的機関の食堂、大学の学食など)が3割、その他食品問屋などが1割ほどだという(逸見さん)。
立ち食いそば屋だけでなく、らーめん店やそば専門店にも相当卸しているというのは驚きだった。後述するがこれが「むらめん」成長のキーポイントでもあったという。
群雄割拠の製麺業界で「むらめん」が生き残り続けている理由
立ち食いそば屋で多く使われている他の製麵会社といえば、「株式会社丸山製麺」(東京都大田区上池台5丁目)、「興和物産株式会社」(埼玉県川越市的場1575)、「株式会社紀州屋製麺」(東京都新宿区西新宿3丁目)、「小田急食品株式会社」(神奈川県座間市ひばりが丘4丁目)などである。「むらめん」がこの激戦区で、生き残り、しかも発展している理由を聞いてみた。
逸見さんは「そば粉の吟味の大切さ」をまず第一にあげた。そば粉は国産・外国産を問わず、また季節によっても様々なそば粉を仕入れることになる。それは常に変化しており、小麦粉も同様である。
一定な高品質な麺を維持するためには、熟練した職人が原料となる小麦粉・そば粉について産地や粉の特性をしっかり吟味し、製品ごとにあったちがう挽き方をした粉をブレンドし、水回し、練り、切り出し、太さにこだわる必要があるという。
また逸見さんは「日々技術UPできる環境があったことも大きい」という。例えばこんな事例があったという。
とあるそば専門店から、「今まで機械製麺したり手打ちで対応していたが、機械の老朽化や職人の高齢化で製麺ができなくなった」という依頼を受けた時のこと。
「むらめん」ではわざわざその店のそば粉・小麦粉と同じ品質の粉を揃え、何度もノウハウを共有しながら試行錯誤し遜色ないそばを納入できるようになったという。