「ビッくらポン!史上過去最高の反響は、コラボ2回目のちいかわ(初回は23年2月)だと思います。コラボしたのは2024年3月8日~31日で、この月の既存店の昨年対比は123%となっています。もちろん、売り上げに関しては、春休みや、インバウンド回復など、複数の要因があります」(辻氏)
そんなビッくらポン!、日本同様、海外店舗でも大人気だという。だが、米国店舗で導入する際には壁にぶち当たったこともあった。「ギャンブル」とみなされてしまったのだ。
「必ず景品が当たるか分からない、という点などからギャンブルとみなされてしまい、規制に対応するには申請する必要があったのです。ただ、多大なコストと手間がかかることから、15皿に1回、必ず当たるシステムにしてギャンブルとみなされないようにしました。
そのため、米国のくら寿司ではミニゲームがストーリー仕立てのようになっており『あと何回やれば当たる』といったアナウンスをしています」
ちなみに、米国や台湾、中国のビッくらポン!の景品は、最近では現地IPとのコラボも増えつつあるというが、ほとんどは日本と変わらずアニメ作品とのコラボがメインだという。
アメリカ展開の難しさ
米国で店舗を展開する際は、ビッくらポン!以外にもいくつかの壁があった。辻氏は米国ならではの事情を挙げながら、次のように説明する。
「米国の大きな特徴は、日本と違い多民族国家であることです。例えば、中国や台湾であれば、彼らが好む味を確立できれば、それで一点突破できます。しかし、米国で店舗を拡大していくには、それだけでは不十分です」
くら寿司が米国1号店をオープンしたのは、カリフォルニア州・アーバインのショッピングモール。アーバインは比較的アジア人が多く、韓国系のおしゃれな店なども多い立地であったことから、日本食の代表格である寿司は、比較的スムーズに受け入れられたという。
しかし、2号店をオープンしたエリアはカリフォルニア州・ローランドハイツと言うエリアで、アジア系とは異なる人が多く、苦戦した。そこから、どんな人が住んでいるのかなど、エリア特性に合わせた店舗設計をするようにしていった。