くら寿司USAで人気の寿司ネタ
そんな米国のくら寿司では、どんなメニューが人気なのか。辻氏によると、やはりロール寿司が人気で、ポイントはサクサクした食感やスパイシーな味付け。また、甘いタレも人気だという。
これまでは日本の商品開発部長が米国に行きリサーチする形をとっていたが、最近は米国に商品開発メンバーが駐在して、細かく現地のトレンドなどを分析しながらメニューを開発している。
「中国や台湾の売れ筋は日本と似ており、やはりサーモンが人気です。また、台湾では炙り系のメニューも人気が高い傾向にあります」
コロナ禍が明け、米国法人は通期で初の黒字、前期に本土で初出店した中国への出店など、今後に注目が集まる。7月末時点で124ある海外店舗は、2030年までに400店舗へと増やす計画だ。
単純に店舗を増やすだけでなく、国内のグローバル旗艦店との相乗効果を狙う。2020年に浅草で1号店をオープンしたグローバル旗艦店は、観光(サイトシーイング)と食事(イーティング)を掛け合わせた「サイトイーティング」をコンセプトに、日本の文化を発信する店舗形態だ。4月にオープンした銀座店で、国内は6店舗目となった。
ロードサイド→都市部→海外
「グローバル旗艦店は、屋台を意識したコーナーや、ついつい写真に撮りたくなるような設計にすることで、日本を訪れた外国人のお客さまの印象に残るようにしました。日本と海外店舗で、くら寿司のロゴは同じものを使っているため、母国に帰った後にもくら寿司を認知していただき、利用してもらうことを期待しています」
ロードサイドから都市部へと徐々に店舗網を広げてきた回転寿司だが、それによって国内の出店余地はここから爆発的な伸びは期待できない状況だ。著しい人口減少も考えると、海外へと活路を開くのは当然の帰結といえる。
これからは各社もこれまで以上に海外攻勢を強めると見られ、その中で先行者であるくら寿司は、どのような戦いをしていくのか。目が離せない。
フリーライター・編集者
広島カープの熱狂的ファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。