くら寿司が好調だ。その要因の一つに海外事業が挙げられる。現在、アメリカに64店舗、台湾57店舗、中国3店舗の計124店舗(2024年7月末時点)を運営しており、とくにアメリカでの売り上げが良いという。どんな海外戦略をとっているのか。ライターの鬼頭勇大さんが取材した――。(第2回)

写真=時事通信フォト 2022年11月に新規出店したアメリカ・ミネソタ州の「くら寿司」[運営会社提供] - 写真=時事通信フォト

くら寿司USAが成功したワケ

日本食の代名詞といえる寿司に、エンタメ性を掛け合わせた回転寿司。コロナ禍明けの外食回帰も相まって、富士経済によると、2023年の市場規模は前年比で108.8%の7829億円、2024年見込みも同105.5%の8261億円と、成長基調が続く。

市場が成長し続ける背景には、出店エリアの拡大もあるだろう。これまでの回転寿司といえば、ロードサイドへの出店が多かったが、昨今は都心部の出店も目立つ。中でも、くら寿司は勢いが戻りつつあるインバウンドへの認知拡大を期待する「グローバル旗艦店」を拡大し、海外事業も好調だ。

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コロナ禍明けとなった2023年10月期は、売り上げが前期比115.5%となる約2114億円、営業利益も約24億円と、3期ぶりの黒字化を果たした。特に大きく成長したのが国外で、2019年に米ナスダック市場に上場した米国法人は売り上げが前期比151.3%を記録し、通期として上場以来初の経常黒字となった。

くら寿司USAの売り上げ
2019年 70億9600万円
2020年 48億7900万円
2021年 69億5200万円
2022年 171億7300万円
2023年 259億7500万円 (2024年8月末決算より)

米国市場を巡っては、今年4月にスシローを運営するFOOD& LIFE COMPANIESがボストンに店舗をオープンした(居酒屋業態)。一方、くら寿司は2009年に米国第1号店を開店。2024年7月末時点で64店を展開している(すべて回転寿司業態)。店舗によっては食事をするのに時に8時間待ちとなることもあるそう。