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――時間はどのように捻出されているんですか。

呉監督 子どもを産む前は、起きてる時間は、映画に出てくる人物についてずっと考え続けていました。でも今はそれは無理なので、平日は早朝や、子どもを保育園や小学校に送り出してからの日中に仕事をして、どうしても時間が足りない場合は子どもを寝かせた後に夜中までやって……という感じです。これで良いのかと悩むこともありますが、ある意味今の方が濃密な時間を過ごせているし、時間の使い方もちゃんとできるようになった気がします。

©五十嵐大/幻冬舎©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会

――制限があることで、より集中できるということでしょうか。

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呉監督 考え方が変わったわけではないのですが、四六時中ずっと考えていても結局出せる答えは1つしかないと思えるようになったのかも。

 広告の撮影は1~2日で終わるので集中する時間は捻出できていたのですが、映画は長期間なのでどうしても家のことと重なり割り切れない瞬間があるんですよね。周りに甘えることの大事さに改めて気づかされました。

©文藝春秋

自分でやっていた家事や育児を夫に任せてみたら…

――配偶者の方とは家事育児の分担をどのようにされているんですか。

呉監督 夫はとても多忙な人で、映画に復帰する前は家事や育児は私が主体的にやっていました。でも今回、私がいなくても、私以上に丁寧にやってくれました。

――意外な一面が発揮されたんですね。

呉監督 料理もいろんなものを作っていたみたいで。でも私が帰ってきた時には綺麗に片付けてあるから、何を作ったかはわからないし、無口なので言ってくれないのです。でも子どもたちが「お父さんが作ってくれた〇〇が美味しかった」と報告してくれますけれど(笑)。

――そんな美味しいものを作ったら写真を見せたり自慢したりしたくなりそうです。

呉監督 そうですよね。でも夫はしないですね。聞かなくても困ることはないのですが。おもしろい人だとは思います。お互い、今何の仕事をしているのかも一切知りませんし(笑)。