「面白い」「すごく共感する」。経営者をはじめ、さまざまな人が絶賛している『宗教を学べば経営がわかる』。中東情勢やアメリカ大統領選について、共著者の池上彰さんと入山章栄さんが本の刊行を記念して特別対談を行った。*この対談は、文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」(9月2日放送分)を再構成したものです。

『宗教を学べば経営がわかる』

◆◆◆

入山 「これから第五次中東戦争が起きるかもしれない」と言われますが、池上さんはどういうふうにご覧になっていますか?

ADVERTISEMENT

池上 イスラエルにしてもイランにしても「さすがに第五次中東戦争が起きてはおしまいだ」という共通の認識があるんですね。そして今アメリカが必死に止めているので、第五次中東戦争にはならないギリギリのところで、相手の出方を見ながら、これからも争いは続いていくと見た方がいいだろうと思うんですね。実はイスラエルのネタニヤフ首相は、贈収賄事件の刑事被告人なんですよ。

入山 へぇー、首相なのに刑事被告人!

池上 ハマスの奇襲攻撃がなければ、ネタニヤフ首相は間違いなく裁判で有罪判決を受けて刑務所に入るだろうと見られていました。ところが、ハマスが攻撃してきたので、ネタニヤフは戦争だと宣言したんです。戦争だと、緊急事態条項によってさまざまなことがストップするので、彼の裁判は止まったままになっているんですね。彼にとって見ればチャンスで、争いが続いている限りは首相の座に留まれる。だから、ハマスを攻撃してハマスがだいぶ弱ってきたら、今度はレバノンのヒズボラと事を構えたり、ハマスのリーダーを殺したりしています。明らかにネタニヤフはもっと戦闘を続けたいんですよ。

入山 つまり、自分が捕まらないための延命戦略でもあるわけですね。

池上 そうなんですよ。その延命戦略って、どれだけの人が死んでるんだよっていう話になるわけですけど。