『カルト村で生まれました。』でマンガ家デビューした高田かやさん。「所有のない社会」を目指すある共同体での暮らしぶりを、労働や空腹、虐待などの過酷な状況まで描いて、反響を呼びました。続編『さよなら、カルト村。』を経て、このたび最新作『お金さま、いらっしゃい!』が上梓されることに。お金とほぼ縁のなかった村を出て、高田さんは今、どんなふうにお金とつきあっているのでしょうか。
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カルト村を告発するつもりは一切なかった
――高田さんにとって3作目の作品である『お金さま、いらっしゃい!』は、かなり産みの苦しみがあったそうですね。今までの作品と比べてどんな点が難しかったですか?
そもそも私は「家で絵を描く仕事をしたい」と思って、クレアコミックエッセイルームに投稿したことがきっかけでデビューできたのですが、1作目の『カルト村で生まれました。』は「自分にしか描けない事柄で自己紹介をするところから始めてみればいいのかな?」という軽い気持ちで、ただ自分の子供時代の思い出を描いただけだったんです。生まれ育った村をプッシュするつもりも、告発するつもりも一切なく(笑)。
2作目(『さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで』)も、1作目の続きから村を出た19歳までの思い出をそのまま描いた作品で、私の中では「村の話を描くのはもうこれで最後だ!」と思っていました。