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お金のやりとりがない「カルト村」で育った女性はいま、お金とどうつきあっているか

『お金さまいらっしゃい!』著者が語る節約術

デニーズでコーヒーばかり注文した理由

『さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで』(高田かや 著)
『さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで』(高田かや 著)

――えっ、そうなんですか。コスパ最優先で選んでいたんですね。

「打ち合わせでコーヒーを飲む私」というのも大人っぽくてけっこう気に入っていましたし、夕食前なのでお腹をいっぱいにしたくなかったこともあって……。自分で払うときはもちろん、ご馳走してもらう場合も、自分の欲望はあまりないので、選ぶ基準はコスパが最優先になってしまいます。

 あ、でも最近、コーヒー嫌いは克服できたんです。

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――どうやって克服したんですか?

 きっかけは去年淡路島の窯元で、小ぶりのコーヒーカップを買ったことです。せっかく良い器を買ったんだから美味しいコーヒーを淹れようと、ふさおさんがコーヒードリッパーを買ってきてきちんと淹れてくれて。それまでは大きなマグカップを使っていたので、いつも飲みきれなかったんですが、その小さなカップで飲むとプレッシャーを感じずに残さず全部飲むことができて、コーヒーがとても美味しく感じるようになったんです。

©高田かや

 飲めるようになったら興味が出てきて、出かけた先で喫茶店を探して飲んだり、コーヒー豆屋さんで毎週おすすめの豆を買うようになり……。コーヒーマニアの実家の父にお古のミルを譲ってもらい、今では家で豆を挽くようにまでなりました。

 以前は超アメリカンでも眠れなくなっていたので、睡眠の質のためにコーヒーを避けていたところもあるんですけど、最近は通常の濃さのコーヒーを飲んでも眠れるようになりました。体が慣れたんですかね? 私もようやく大人の舌になって、苦味を旨みと感じられるようになったのかもしれないです(笑)。