「カルト村出身」は就活に影響したか
今回は、村から一般社会に出て、自分でお金を稼ぎ始めてからのお話です。最初は仕事がなかなか見つからなかったそうですが、最初の勤め先が決まるまで、何社くらい面接に通いましたか?
中卒で応募できる会社自体が少なかったので、面接までこぎつけたのは10社程だったかな。即OKをもらえそうだったのに、男性が多い職場に恐れをなしてその場で辞退したり、面接場所へ行くのに片道2時間以上かかって先方に同情されたり、大手デパートの販売で二次選考まで進めたけれど役員面接で村の子とバレて断られてしまったり……。大変でしたが、面接で様々な職種の仕事について話を聞くことができて、面白かったです。
財布の中身を1円単位まで把握していた
――最初にもらったお給料13万円は何に使いました? ご両親にプレゼントを買ったりしましたか?
とりあえず、親に前借りしていた分のお金を返して、あとは貯金しました。初任給だろうが何だろうが、私にとって「お金」は「お金」なので、とくに「初めてのお給料でこれを買う!」というような気負ったものはなかったです。
「最初のお給料で」というわけではないですが、父がデパートの催事で売られていた新潟のお寿司と日本酒を食べたがっていたので、内緒で買ってきてあげたりはしました。
人を喜ばすことって、お金がなくても工夫して色々できますが、あったらあったでサプライズの幅が広がるので楽しいですよね。
――今回の作品で「何をどこでいくらで買ったかメモをして、財布の中身を1円単位まで把握していた」というエピソードを読んで、すごいと思いました。メモを取るのは面倒臭くなかったですか?
お金のメモを取るのは毎晩の日課のようなものだったし、村を出た当初はとにかく何でも目新しくて、買い物やお金のメモなどちょっとしたことがとても楽しかったので、面倒臭くはなかったです。携帯電話を買ってからは、携帯のメモ機能が便利でしたね。そのうち仕事や旅行で忙しくなってきて、書き方がどんどん大雑把になっていきましたが、お金のメモはずっと続けていました。
現在はパソコンで家計簿をつけていますが、レシートがある程度たまってからまとめて入力しているので、お財布の残金も大まかな数字を記憶しているだけです。