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お金のやりとりがない「カルト村」で育った女性はいま、お金とどうつきあっているか

『お金さまいらっしゃい!』著者が語る節約術

10年以上持っている洋服もいっぱい 

――マンガの中に、買った商品の絵と値段がしっかり描かれていますが、当時のお小遣い帳を見直して正しい数字を描いているんですよね?

ていねいに記録されている当時のお小遣い帳

 まさか自分がお金の話を描くとは思っていなかったので、去年の大掃除の時、歴代のお小遣い帳や家計簿を資源ゴミに出してしまい、描く段になって焦りました(笑)。たまたま一番初めのお小遣い帳だけ残っていたので、それを見ながら「多分このときの靴はこれだろう」「あのときの服はこれだろう」と見当をつけて値段を書きました。

出典『お金さま、いらっしゃい!』 ©高田かや

 当時買った洋服やブラは全てまだ持っているので、物の絵も現物を見ながら正確に描いています。物持ちが良い方で、10年以上持っている洋服もいっぱいあります。最近は、「今後10年くらいは着るだろう」と見越して、値段が高くても少し質の良い物を買うようにしています。

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出典『お金さま、いらっしゃい!』 ©高田かや

お給料だけでちゃんとやりくりできる

――村を出てしばらくは家族と暮らして、その後ひとり暮らしをしたときの様子も描かれていますが、ずっと村で大勢の中で暮らしてきて、ひとり暮らしすることに不安や寂しさを感じませんでしたか? 

 不安は本当にありませんでした。不安より、楽しみとかワクワクが勝っていたように思います。自分の性格上、お給料だけでちゃんとやりくりできることも分かっていたし、あとは実家が近くて歩いて行ける距離に親がいたこと、当時お付き合いをしていたふさおさんに色々相談できたことも大きかったと思います。村を出ていきなりのひとり暮しだったら、きっと違っていたんだろうと思いますが……。

 ひとり暮しを始めた当初は全く寂しくなく、むしろ清々していましたが、しばらくして、妹の進学に伴い実家が引っ越して家族が遠くへ行ってしまった日の夜は、妙に心細くなったことを覚えています。
物理的に大勢で暮らしていても、気を許せる相手がその集団にいなければ結局のところ孤独ですよね。村にいて大勢で暮らしているときよりも、近くに何でも話せる人がいる状態でのひとり暮らしのほうが、精神的に心強かったです。

――ひとり暮らしの年数は結局何年だったんですか?

 長男であるふさおさんと結婚して、ふさおさんの家族と一緒に暮らすことになったので、ひとり暮らしの期間は1年と少しです。短かったですね! でも楽しかったし、自分にはひとり暮しが向いていると思うので、いつかはまたひとり暮しがしたいです(笑)。