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とんでもないタイミングでのインタビュー

 そんな時に思い出すのは、あのクマ取材の時に見た景色。気づけば、「またクマ対談のような企画がしたい。山に行ってお話しできないか」と東出さんにメールを送っていた。「もう私の事なんて忘れてるかな」と思いながら。しかし東出さんはすぐに「ぜひご家族で遊びに来てください!」とお返事をくれた。ご家族で! 嬉しいお誘いに恐縮した振りをしながらもちゃっかりお言葉に甘え、じゃあ9月のこの日にと日程が決まり、手土産やら息子用に虫取り網なんかを買い求め、楽しみだね~なんて浮足立っていたところで、8月27日の再婚報告である。

©︎文藝春秋/釜谷洋史

 とんでもないタイミングで渦中の人に会いに行くことになってしまった。“東出再婚”に日本中が沸いていた。ネットニュースを開くごとに新しい記事がアップされているが、その中には「これは憶測では」というものや、情報源が怪しそうなものも多く、釈然としない思いが沸き上がる。こんなことなら私がきちんと話を聞きたい。そう思って、インタビューを申し込んだが、今私が属するのは東出さんの「人生をぶっ壊した」、「週刊文春」である。ダメ元だったが、東出さんの回答は、「遊びがてら、食卓を囲みながらお話をし、その一端を記事にしてください」。

 こうしてプライベートだか仕事だかわからない1泊2日の訪問が決まったのだ。

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「ワイルド」としか表現しようがない光景

 話は冒頭に戻り、私たち一家は愛犬しーちゃんのものであろう毛と、獣の匂いに満ちた東出さんのボコボコプリウスに揺られて曲がりくねった山道を登っていく。

 私たちが宿泊するキャンプ場に着くと、東出さん自ら「橋の上で布団干しますね」「焚き火はここで」と、まるでスタッフのように手際よく施設を案内してくれる。聞けば、東出さんの家の持ち主が、このキャンプ場のオーナーらしい。

©︎文藝春秋/釜谷洋史

 その後、そのご自宅まで案内していただいた。古民家の軒下が、東出さん宅のリビングスペース。「拾ってきた」という椅子や机の上に、調味料やら調理器具やらが雑然と置かれている。「ワイルド」としか表現しようがないその光景に、東出さんのYouTubeチャンネルのファンである夫は、「本物だ」と感激していた。

 すぐ裏にはわずかに紅葉が始まった木々が鬱蒼と生い茂り、そこからチロチロと湧き水が流れてくる。

「トンボ!」と、子どもが声を上げた。大きなオニヤンマだった。