友人や知人と接するときには相手の心を傷つけまいと気遣う人でも、子どもに対してはどうだろう? 随分と我が子の心に無頓着な言動を繰り返してきてはいなかったか――。思わずそんなことを考えさせられる本書。精神科認定看護師として、児童精神科病棟に入院している子どもたちの心と深く向き合ってきた著者が、その経験から得た「子どものメンタルを壊さない方法」をまとめている。
「著者の主張はどれも、編集者としてというより親として刺さるものばかり。私がもっとも動揺したのは『大人の不機嫌は子どもを無理やりいい子にさせる』という趣旨のくだりです。あぁ、私も自分の子どもに同じことをしているなと」(担当編集者の川田央恵さん)
本書では、親が子についやってしまいがちな言動に対して、「余計なひとことを言わない」「叱責しない」「感情を否定しない」「過度な期待をしない」など、「待った」をかける「引き算思考」が目立つ。また最終章では、一児の父でもある著者が、徹底的に子どもの側に立ちつつ大人にも優しくエールを送っている。
「読み進めるうちに自分の子ども時代を思い出し、親にこんな風に接して欲しかったと思ったら泣けてきた、という感想もいくつかあり意外でした。このような読書体験もまた、ご自身の子育てに生かせるのではないでしょうか」(川田さん)