著者はパリの大学で児童心理学に主眼を置いた情報とコミュニケーションに関する修士号を取得し、アニメ制作の仕事を経て、児童書作家に。以降は気分に応じて七色に変化する“まほうのたてがみ”を持ったユニコーンの子供・ガストンが主役の作品を書き続けており、日本でも2、3歳児を対象にした〈きぶんをととのえるえほん〉シリーズが8冊翻訳出版されている。
「ガストンは、怒りっぽかったり、やきもち焼きだったり、怖がりだったりと、いろいろな面を持っています。そのどれかが、必ず我が子の姿と重なるようですね」(担当編集者の平野麻衣子さん)
新シリーズ〈ソーシャルスキルえほん〉は、4歳以上の子に向けて、社会の中で他人との関係を築く力を身につけることを目指したもの。本書はその第1弾で、成長していく中で抱く複雑な感情がテーマになっている。サッカーやゲームなど勝敗の分かれることで勝てないと、不機嫌になってしまうガストン。母親は「大事なのは勝ち負けじゃない、楽しみながら一歩ずつ上達することなんだ」とガストンが気づくまで、優しく教え、諭していく。
「勝ち負けにこだわる子を持つ親に、SNSを通じた口コミで広がったようです」(平野さん)
準備中の第2弾は「失敗を許す」がテーマで、これも貴重な一冊になりそうだ。