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公益性、公共性をクリアした「筋のいいネタ」は必須

――横田さんには「週刊ポスト」での日本維新の会の選挙ボランティア潜入記事などいろいろあります。潜入は雑誌的でもある。鈴木智彦さんの『ヤクザと原発』(2011年)も、「週刊ポスト」や「週刊文春」に書いていったものを基にしています。

横田 潜入ルポは雑誌の見出しが立ちやすいということもあるとは思いますが、それは後々になって気づいたことです。編集者からすると、他にやっているライターが少ないですから、僕が目立ったというのもあると思う。

 最初の潜入ルポは、業界誌にアマゾンとは明記せずに書いたものでした。それをもとにしたものを月刊「文藝春秋」が「ネット書店アマゾン潜入記」として載せてくれた。その後もヤマト運輸を「SAPIO」(小学館が発行していた雑誌)、ユニクロを「週刊文春」で書かせてもらった。

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 出版社のバックアップは重要です。もちろん潜入取材は一人でできます。でも裁判で口封じしようとしてくるような企業について書こうとしたら、個人では厳しい。幸いなことに、潜入取材に理解のある編集者がいるのは助かります。

 

――最後になりますが今回の『潜入取材、全手法』には、日本に潜入記者がもっと生まれて欲しい、女性であればエステ業界がいいのではと書かれています。

横田 他にもいろいろとあると思いますよ。大阪万博なんて、面白いかもしれない。パビリオンで働いてみるとかね。でも筋のいいネタを集めないと駄目です。筋のいいネタというのは、公益性、公共性、これをしっかりクリアしないといけない。たんなる暴露ではだめです。簡単にいうとガーシー(東谷義和)のようにならないということです。そこを気にしながらネタを集めるといいでしょうね。

写真=志水隆/文藝春秋