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『アンナチュラル』が“予言ドラマ”と言われたワケ
社会、そしてそこに生きる個人を見つめながら、徹底的な取材を基に作られた『アンナチュラル』という物語は、“予言”のような形で現実とリンクすることとなる。
第1話「名前のない毒」では、年老いた両親が息子の遺体の調査をUDIラボに依頼。死因の毒物は特定できず、調査が行き詰まる中、死亡した本人にサウジアラビアへの渡航歴が判明し、「MERSコロナウイルス」の感染が死因だったことがわかる展開が描かれた。
COVID-19の感染拡大で世界中がパニックに陥ったのは、ドラマの放送から2年後のことだ。誰もが不安を抱え、ときに「犯人探し」で疑心暗鬼になり社会が分断されていく様は、ドラマを再現したかのようにも思えた。野木はインタビューでこう説明している。
「MERSコロナウイルスは終息宣言が出ておらず、いつまたパンデミックが起こるともわからないなかで書いたので、予言でもなんでもなく、実際にある問題を描いたにすぎないんですよ。韓国や中国にとっては、新型コロナウイルスはMERSやSARS(重症急性呼吸器症候群)で一度経験していることですが、日本ではどこか遠くのこととして見ていた人が多かったから、『予言』のようにとらえられたのだと思います」(『婦人画報』2022年2月号)
そんな『アンナチュラル』の“予言”が現実となったのと同じ2020年、物語の続きが動き出す。『MIU404』の放送が始まったのだ。(#2に続く)