綾野剛演じる「動」の伊吹と、星野源演じる「静」の志摩
「動」を担うのは、綾野剛演じる機動力と運動神経がピカイチの伊吹。勘や感覚を信じる男で、劇中の言葉を借りれば、「野性のバカ」だ。綾野の身体能力の高さをフルに活用し、物語全体にエネルギーを吹き込む効果ももたらしている。
一方、「静」の存在である志摩(星野源)は、冷静で鋭い観察力かつ社交力を持ち、先回り思考。言語化が苦手ですぐ話が脱線する伊吹に対して、論理的な志摩。すぐに人を信じる伊吹に対して、自分も他人も信用していない志摩。そう、2人は見事に正反対だ。
このキャスティングについて、野木は「どうせやるなら最近見てない感じの2人にしよう」と思い、「今までとは違う方向のあて書き」をしたとインタビューで語っている。たとえば、伊吹が野生みあふれるキャラクターになったのは、実際に警察に話を聞いたところヤンチャな人が多かったと感じたのがきっかけだった。さらに、綾野には「本当の“悪”を背負うような役や深刻な役が多かった」イメージがあったため、「明るいワンコっぽさを」出すようにしたという(前出の「Real Sound」)。
綾野と星野の“アドリブ”でバディの魅力が増した
さらに伊吹と志摩は、本人たちのアドリブで魅力が増した面もあったという。例えば、第1話では、志摩が伊吹に振り回され、冷静さを失うシーンがある。
「野性の感覚だけでしゃしゃってんじゃねえよ!(ゴミ箱を蹴飛ばす)……俺までマウントとっちゃったじゃねえかっ」
つい感情を爆発させてしまい恥ずかしそうにする志摩と、それを見て「なんだかテンション上がってきた~!」となぜか嬉しそうな伊吹。丸ごと可愛いし、今後の二人の関係性の変化が楽しみになるシーンだった。
この、星野がゴミ箱を蹴飛ばすのも、それを受けて綾野が「テンション上がってきた!」と言うのも、台本にはなく二人のアドリブだったことをプロデューサーの新井はインタビューで明かしている(「マイナビニュース」2020年6月27日)。