え、これが国道…?
細い道が左に分岐している。この左折する細い道こそが、国道本線なのだ。大多数の人は何も気にせず直進しているが、実は国道は左折している。このポイントを境に、せせらぎ街道は国道から県道に切り替わっているというわけだ。
私は国道を進む目的なので、当然左折する。すると、いきなり驚くほど道幅が狭くなった。路面の状態も酷く、舗装が剥がれかけている。
本格的な酷道となり、私としては嬉しい限り。だが、一般的には走りにくい道路なのだろう。
酷道は長くは続かず、1キロほど走ったところで行き止まりになってしまった。
道は行き止まりになった。といっても、ここは国道の終点ではない。この国道には、道が繋がっていない不通区間が存在するのだ。国道は山によって東西に分断されており、直線距離にしておよそ3キロの距離に道路が存在しない。国道257号を全て巡るためには、不通区間の反対側にも行かなければならないわけだ。
周辺に迂回路はなく、車で北へ大きく回り込むしかない。地図上では3キロしかない距離を1時間半かけて60キロ走り、ようやく反対側に着いた。道路の重要さを身をもって経験した思いだ。
迂回してきた国道158号を離れ、国道257、472号を走り、分断区間の末端部に向かう。実はこの国道158号との交差点こそが、国道257号の終点だ。
ここからは終点から逆行する形で走る。この先が通行止と分かっていてわざわざ突っ込んでいく車は、釣り人か道路マニアぐらいだろう。
国道257、472号に入るや否や、すぐに対向車とすれ違うのも困難な狭隘路となった。道路脇には「国道257号 4km先 車両通行不能」と書かれた看板が立っている。少なくとも、この先4キロは酷道が楽しめそうだ。
その先では、国道のすぐ脇に迫力満点の“魚帰りの滝”もあった。これは期待できそうだ。