悪路→快走路→悪路→快走路…酷道257号が歪な道路になってしまったワケ
1キロほど走ったところで東海北陸道の下をくぐるのだが、その前後の区間のみ、なぜか突然センターラインが復活し、快走路となった。
そうかと思うと今度は一気に道幅が減少。再び本格的な酷道になる。
道幅は乗用車1台分しかなく、路面はボロボロ、ガードレールは存在せず、ハンドル操作を誤れば川に転落してしまう。まさに典型的な酷道だ。
その先でも、わずかな区間が2車線道路になった。かと思えば、またまた酷道になってしまう。なぜこんな歪な造りになっているのか。それは、国道の分断区間を解消するため、かつてバイパスを建設する計画があったからだ。
1999年に不通区間を含む延長7.5キロの三尾河バイパスが事業化されたものの、2011年に事業休止となり、現在に至っている。その名残が、随所に残っているというわけだ。
名残は部分的に改良された2車線の道路だけではない。川を渡る部分で左右を見渡すと、立派な橋台が見える。橋を支える橋台のみが造られ、現在に至るまで橋は架けられていない格好だ。部分的に改良された2車線道路はセンターラインが消えかけ、立派な橋台は草に覆われつつあり、夢の跡を感じさせる。
終点から4キロほど走ったところで、酷道は突然終わる。国道の先にも道は続いているが、舗装されておらず、林道と表記されている。酷道区間の距離は短いが、分断区間やその前後には、十分に楽しめる要素があった。迂回に要する距離と時間も含めて、その過酷さを楽しみたい酷道だ。
実際に酷道をドライブするにはリスクも伴うため万人にはお勧めしにくいが、季節の風を感じながら、たまには酷道をドライブしてみるのも楽しいだろう。ドライブしなくても、せせらぎ街道の知られざる事実や未完成の三尾河バイパスなど、道に興味を持てばそれだけで人生の楽しみが増えるかもしれない。
撮影=鹿取茂雄