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 石破茂さんとしては、解散総選挙もにらみつつ、おそらくは総裁、総理のテーマとして地方創生的な、地方経済の復興と人口減少への対策に乗り出したいのだろうという布陣になっています。

 特に、今回官邸で政策取り回しを担当する官房副長官には、元高岡市長(富山県)で地方自治のエキスパートでもある橘慶一郎さんと、僻地の衰退を間近に抱えてきた青木一彦さんという地方問題のエキスパートがふたりも就任しています。青木一彦さんは青木幹雄さんのご長男でやんすね。橘慶一郎さんも地雷がありげですが、まあ副なら乗り切れるでしょう。

 この流れでは、公明党も代表が俺たちの山口那津男さんから石井啓一さんにスイッチしたこともあり、定席となっている国土交通大臣は斉藤鉄夫さん留任からの地方経済救済ネタで行くのはほぼ確定したと言えます。公明党の党大会でも、自公の関係強化で選挙を乗り切る話を石破さん自らがされていましたしね。

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石破茂新総裁 ©文藝春秋

「ぼくのかんがえた最強の安全保障」体制?

 また、もうひとつの石破さんのテーマとして国防・安全保障があるわけなんですが、こちらはすでに波高しの状態になりつつも防衛大臣には大臣経験者の中谷元さん、外務大臣には同じく防衛大臣経験者の岩屋毅さん、そして安全保障担当の首相補佐官には長島昭久さんが抜擢されています。

 きっと石破茂さんは「ぼくのかんがえた最強の安全保障」を実現させたいんだと思いますが、アメリカの保守系シンクタンクであるハドソン研究所に、あろうことか総理大臣就任前にいきなり「日米安保条約の改定」で核の持ち込みに意欲を示したうえ、集団的安全保障の概念的ハードルとかお構いなしに「アジア版NATOの実現」とか言い始めて我が国の安全保障クラスタが総立ちになってブチ切れております。

 その割に、日本がアジアで担うべきサイバー安全保障のサの字も言わないので、石破茂さん的には安全保障の専門家を自認している割に、周辺に「大将、それ的外れでやんすよ」と囁いてくれる有識者がいないことがいきなりバレてしまうという大変な事態なんですよね。この状況で石破茂さんが安全保障の専門家を自認しているのはマズいんじゃないかと思います。

 つか、ハドソン研究所に総理就任前に雑文を寄稿するなんて、明らかにバイデンさんや後任のハリスさんに喧嘩オンセールであることに気づかないってよっぽどだと思うんですよ。さっそく事態収拾でワシントンで土下座する外務省関係者に心よりご同情申し上げます。

高市早苗氏 ©文藝春秋

 そして、高市早苗さんには総務会長を打診し、無事断られるという伝統芸能を繰り広げつつ、菅義偉さんは副総裁に棚上げ。麻生太郎さんも最高顧問に祀り上げられて、あの世代の長老政治は終わりの気配を感じさせます。おそらく、石破さん的には何が何でも次の解散総選挙に勝つために、選挙対策委員長に就けた小泉進次郎さんと全国行脚して地方票をかき集め、減らす議席を最小限にするんだという作戦なのでしょう。