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 もちろん、小泉進次郎さんにいきなり「1か月足らず後に解散総選挙でやんす」と言ってもロジなんてできませんので、組織運動本部長にスライドした小渕優子さんと党務担当その周辺に実務関係はぶん投げて、石破さんと小泉さん2人が候補者の両脇に立って街宣車の上で手を振ってくれればそれでいいんです。

小渕優子氏 ©文藝春秋

 なんせ総務大臣も村上誠一郎さんですから、おそらくは解散総選挙で一定の議席を確保したら、来年の通常国会に向けて小幅の人事改造をやる前提で組閣と党人事をやったのでしょう。幹事長森山裕さん、議運委員長浜田靖一さん、政調会長小野寺五典さんでちゃんと党務と議会が回ってくれれば、打ち上げ花火的に置いた閣僚人事の一部の改造ぐらいは大丈夫だろうという読みなのではないかなと思います。

 今回勇退した岸田文雄さんが1回休みなのは折り込み済みとして、やはり茂木敏充さん、河野太郎さん、上川陽子さん、小林鷹之さんあたりは冷たいごはん試食会ってことで良いのではないでしょうか。

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 今後の論点としては、今回の9人も出た総裁選で、各候補者を中心とした新たな派閥やグループにまとまっていく動きになるでしょうし、その中で今回冷たいごはんを積極的にお口に放り込まれているのは裏金議員(政治資金収支報告書への収入未記載)が目立つということです。

特筆されるべきは裏金議員が慎重に排除されていること

 明らかに、組閣でも党人事でも裏金議員が慎重に排除されているのは特筆されるべきことです。また、細野豪志さんも含め、石破さんと近いと見られているのに大樹総研(と関連会社の旧JCサービス)やライズ・ジャパンなど政治とカネ関係で問題になりそうな人も登用されていません。

 裏金議員の追加処分はさすがに今回の解散総選挙では間に合わないんじゃないかと思いますが、一部の話では石破茂さんは岸田文雄さんと総裁選投開票前に面談しています。その折に、旧安倍派の面々に対してすでに岸田さんが一度手がけた党内処分にさらに踏み込む可能性も示唆されたという話も流れてきていて、実にカオスであるとも言えます。

岸田文雄氏の総裁選不出馬からすべては始まった ©時事通信社

 エネルギー関係もおそらくは今回退任となる筆頭首相秘書官であった嶋田隆さんから井上博雄さんにスイッチし、GX関連・発送電分離や原子力発電所の新設・更新と再生エネルギーほか調達の責任を担うことになりそうです。

 社会保障改革も含め、大玉の政策はこっそり裏側でやり、ダイレクトに票になる地方創生ネタと外交・安全保障で選挙を勝ち抜こうという石破茂さんの頭上に勝利は輝くのでしょうか。

 ただ、マクロ経済に関しては、残念なことにまったく評価されず、さっそく市場からも見放されたかのような株価になってしまって、これなら岸田文雄留任で良かったんじゃないか、岸田フォーエバーの声がこだましているのは悩ましいところです。

 どういう形であれ、石破茂さんが悲願の総裁に就任、そして総理になられるからには、国民のためにしっかりと汗をかいて、素晴らしい治世とし、国民と共に良い社会をつくる先導を担ってほしいと心から願っています。改めて、石破茂さん、おめでとうございました。