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世古 これにはちょっと経緯がありまして。2018年の7月、中日新聞が運営している関係で王位戦の第1局に取材に行きました。そのときは菅井竜也王位に豊島将之八段が挑戦するという構図で、関係者の会食のとき豊島先生のテーブルに座ったんです。そこで豊島先生が、糸谷先生(哲郎八段)たちとほがらかに談笑されている姿を見て、勝負師とはちがう雰囲気を感じて「おもしろい人だな」って思ったんです。それで将棋担当と言われても、まずは何をしていいかわからないので、一人棋士を追ってみようと思って、「豊島番にしてください」と部長に言ったんですね。

――それで豊島番になったと。

世古 はい。それで豊島先生の対局は必ず見て、棋譜も並べてみる形で勉強をしました。棋譜を並べるのは難しく、よくごちゃごちゃになってしまうのですが、中継記者の解説を読んで、少しずつ勉強しました。

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――ちなみに、ご自身の戦型は?

世古 居飛車党です。中澤先生からは「世古さんは、なんとなく振り飛車党だと思います」って言われたんですけど、中澤先生も豊島先生も居飛車党なので、居飛車をやり続けています。

――だいたい棋力はどれくらいになりました?

世古 まだ5級くらいだと思います。瀬戸さんは、とても強くなっているという噂を聞くんですが(笑)。

松本渚さんの『盤記者』第1巻

将棋対戦アプリで棋力アップ「先手だったら早石田ですね」

――では、強くなっているという瀬戸さんの話を(笑)。瀬戸さんは、将棋記者を志願されたときは、自分で指していたんですか?

瀬戸 いやいや、まったく(笑)。小学生のときにちょっとやったので、駒の動かし方くらいはわかっていましたが、指してはいませんでした。

――では、どうやって勉強を?

瀬戸 報知新聞社は女流名人戦の主催社なので、まず女流棋士に詳しくなることが必要でした。女流棋士といえば、福間さん(香奈女流五冠)と西山さん(朋佳女流三冠)のことを知るのは必須なので、その二人の棋譜並べをしようと思ったんです。でも棋譜って読めないんですよね。

――読めないですよね。

瀬戸 だから、モバイル中継に残っている対局から図のまま並べることから始めて、将棋ってこういう形なんだという、大まかなイメージを理解していきました。そして半年くらいしてから(対戦アプリの)将棋ウォーズを始めました。戦型もよくわからなかったんですが、角道を開けた歩をもう1コマ進めてみたら「早石田」ってエフェクトが出たので、そんな戦型があるんだって知って、早石田を解説している戸部先生(誠七段)や藤森先生(哲也五段)のYouTubeを見て勉強し、ずっと早石田を指し続けているという。

――エフェクトがきっかけで(笑)。それは今でも?

瀬戸 先手だったら早石田ですね。それから会社が両国に移転して、両国将棋センターが徒歩圏内になったので、たまに通って子どもたちと将棋を指したり、指導対局がキャンセルで枠が空いたりすると、そこに入れてもらったりして棋力をアップさせてきました。