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――早石田で、ウォーズはどこまで上り詰めたんですか?

瀬戸 今、2級ですね。

世古 すごいですね。私、対局恐怖症なので、実はウォーズデビューをしてなくて……。本当は指したほうがいいんでしょうけど、教室の人と指すくらいですね。瀬戸さんは、毎日指してるんですか?

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瀬戸 ウォーズは、めちゃくちゃ指していますね。もう何千勝、何千敗のレベルです。電車での移動中は必ず指すので、毎日5局は指してますね。無料だと3局しかできないので課金しています。

――大会も出ています?

瀬戸 紙面で月に一度、棋士インタビューのサイド原稿みたいな形で、私の体験記を書いているので、いろいろ大会に出ています。

世古 瀬戸さんすごいなー。やっぱり指さないとダメですよね。私は、対局があまり好きじゃないのに、職団戦に嫌々ひっぱられていったことはありました。まあ、全敗するんですけど、それも楽しい経験でしたね。

瀬戸 私は、会社で指している人が少ないので、職団戦は出てませんね。

――お二人は、いろいろと好対照ですね(笑)。

将棋界の印象は「無垢で純情な世界」「すごいことをやっているのに等身大の人間」

――記者になられて感じた将棋界の印象は、どうでしょうか。

世古 特殊な世界ですよね。あの29連勝のとき、藤井先生の背にメディアが殺到する有名な写真がありますが、あれを見て強烈に思ったのは、男性しかいない社会なんだということでした。マスコミの業界自体も男性が多いですが、そのなかでも、とりわけ男性が多いなという印象でしたね。あとは、大崎善生さんのエッセイのあとがきに「無垢にして純情な将棋の世界」と書いてあったんですが、それはまさしくそうだなと思いました。

29連勝を果たした藤井聡太四段(当時)。取材者はほとんどが男性だった ©文藝春秋

――なるほど。

世古 勝負事に人生をかけて戦っている人たちって特殊な世界ですが、そこで取材をしていて嫌な目に一切遭わないのは、きっと珍しいことだなと。「美しい世界」と言うのはおかしいと思いますが、無垢で純情な世界だなって感じますね。

瀬戸 私は、担当になったばかりのとき、将棋界のことを知らなかったので、棋士の方を巨人軍の選手でイメージしてたんですよ。たとえば渡辺明さんは、そのとき名人でしたから高橋由伸だなと。

――それくらいレジェンドだと(笑)。

瀬戸 はい。ただ私が記者室にいたとき、渡辺先生がふらっと「充電させて」ってケータイを持ってこられたんですよ。

――高橋由伸クラスの大物が(笑)。

瀬戸 すごくびっくりして(笑)。棋士の人って、すごいことをやっているのに、記者との距離も近いし、着飾っていない人が多く、等身大の人間であるというか。将棋ですごいことをやったからといって、自分が偉い人だと思っていないような人間らしさがありますよね。それがすごくふしぎだし、素敵なことだなと印象に残りました。

――世古さんは、将棋担当になるのが嫌だったと話しておられましたが、いつ頃から好きになったんですか?