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 昨年放送された男女逆転版『大奥』では将軍・徳川綱吉を、時代劇初出演ながら堂々と演じてみせた。今年話題となったドラマ『不適切にもほどがある!』で演じたテレビ局の社員は、亡き祖父が昭和の時代からタイムスリップしてきたことからさまざまな騒動に巻き込まれつつ、自身が過去に行くことでやはりいまは亡き母と再会を果たした。いずれも現実にはありえない設定ながら、かつて『時をかける少女』の谷口監督が感服したように、彼女はまさにその役を生きるように演じており、まったく噓っぽさを感じさせない。

 近年の出演作では本来の彼女に寄せた役も目立つ。冒頭にあげた劇場版『クレヨンしんちゃん』でのギャル役もそうだし、Netflixの配信ドラマ『離婚しようよ』(2023年)では、仲演じる女優が松坂桃李演じる政治家の夫と一緒に動画サイトで生配信を行っていた。

『あなたのことはそれほど』(TBS系)で「東京ドラマアワード2017」助演女優賞を受賞したときの仲里依紗 ©時事通信社

育児にアパレル会社も…多忙でも「仕事を辞めようと思ったことはない」

 ドラマの撮影が始まると子供と満足に接することもなかなかできないという。しかし、やりたいことは絶対にあきらめないというのが彼女のモットーだ。子供のころからの夢だったファッションの仕事も、2021年にアパレル会社「RE.(アールイードット)」を家族とともに立ち上げることで実現した。ますます多忙をきわめながらも、昨年のインタビューではこんなふうに語っている。

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《それでも仕事を辞めようと思ったことはありません。笑顔でいられるのは仕事があるから。私は私の人生を生き、夫も息子もそれぞれの人生を生きる。「子どもがいたからアレもコレもあきらめた」なんて言い訳、子どもに押しつけたくないんです。したいことは全部やる。だから笑っていられるんですよ。もちろん幸せは人それぞれで、私のすぐ下の妹は専業主婦ですけど、いつも笑顔で幸せそう。本人がしたいことができればいい、そういうことです》(『AERA with Kids』2023年冬号)

仲里依紗のインスタグラムより

 もはや仲の人生は、ソフトクリームというよりは、何段も重ねられた色とりどりのアイスクリームにたとえたほうがふさわしい。だからといって他人にも自分の生き方を押しつけたりはしないところにまた、多様性が求められる現在、彼女が支持される理由がうかがえる。

『おむすび』で仲が演じる元ギャルの姉・歩は3週目の木曜の時点でまだ写真と回想シーンでしか出ていないが、おそらく妹との再会は前半の一つの山場となるのだろう。はたして歩はヒロインにどんなふうにかかわってくるのか。できることなら、物語を思い切りかき回すような活躍を期待したい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。