東京駅での人命救助動画で広く注目された、アイドルグループ・NEOアラモードの北村舞香さん(27)。彼女は類を見ない“医師兼アイドル”として病院では患者と寄り添い、ライブ会場ではファンを前にしたステージに立ち続けている。

 いわば異色の“二刀流”で活躍しているが、医学部時代から芸能活動との“二足のわらじ”を履く生活が続いていたとは意外だ。看護師であった偉人・ナイチンゲールに触発されて医療の世界を志し、ステージ、アイドルにも憧れを抱いた驚きの経歴を、北村さんに尋ねた。(全3回の2回目/3回目に続く)

“医師兼アイドル”として活躍するNEOアラモードの北村舞香さん ©杉山秀樹/文藝春秋

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高校2年の冬に「医者になる!」と決めた理由

――医師を志したきっかけから、伺いたいです。

北村舞香さん(以下、北村) 元々は、看護師をめざしていたんです。小学4年生の頃、書店にある漫画の伝記を読むのが好きで、たまたま目に留まったのがナイチンゲールの伝記でした。その生き方に感銘を受けて「私もナイチンゲールになる!」と思いはじめて、当時の卒業文集にも「看護師になる」と書いたのは覚えています。

――医師をめざすとなると、家系に同業者がいるイメージもあります。

北村 医師は私だけですけど、医療従事者はいます。叔母が、看護師なんです。他にはいなくて、父は航空会社勤務で、母は小学校教諭と幼稚園教諭の資格を持っていますね。

――当初は看護師をめざしていたにもかかわらず、医師に進路変更した理由は?

北村 高校2年生の冬に、進路を見直したんです。自分は何がしたいのか、自分のよさは何かを考えて。中学高校時代の様々な活動を通して、色々な情報を集めて物事を自分なりに考えるのが好きだったし、患者さんからお話を伺って、それぞれの人に沿った治療方針を立てる、医師の仕事に興味を持ちました。

アイドルでありながら、現役の医師としても活躍している(写真=北村舞香さん提供)

――医学部の受験勉強は「高校1年生からが勝負」とする説もありますが、北村さんの場合は、高校2年生の終わり頃からだったんですね。

北村 はい。だから「医者になる!」と決めてから、塾に入りました。じつは、高校1年生でも塾には通っていたんですけど、1つの物事にしか集中できないタイプなので、高校2年生で部活へ集中するために、塾をやめてしまっていたんです。ちょうど、医師をめざした当時に部活を引退したので、心機一転で受験勉強に打ち込みました。