――11月16日に行われるスカパラの35周年ライブ「スカパラ甲子園」にも民生さんは参加します。大事な場には欠かせない方なんですね?
谷中 スカパラにとって特大の人なんですよ。僕自身にとっても、民生さんに歌ってもらった曲はいまだに面白い歌詞が書けたなと思える楽曲なので。民生さんと一緒にできるのは、それだけで幸せなことですし、スカパラの節目にはこれからもずっと歌っていただきたいなと思ってます。
長く音楽を続けられる秘訣
――民生さんも、スカパラのみなさんも、長く音楽を続けられているのは、きっと音楽に飽きてないからですよね?
谷中 そうですね。なんだかんだ言って、民生さんも真面目に音楽と向き合ってきた方ですけど、真面目に向き合いすぎないことが大事なのかなって。頭の中が音楽だけになってしまうと、飽きが来る気がするんです。だから遊びを加える。
僕もそうですね。もちろん真面目にやるし、努力もするけど、どこかしら遊びの感覚を持っていないと、マイナスの方向に加速してしまうこともある。だからゆとりを持つっていうのかな。ある程度ちゃらんぽらんな自分を受け入れてあげることが大事ですよね。
集中することも、僕は諸刃の剣だと思っていて、集中と中毒には似たところがある気がするんです。たとえば楽器の練習に集中して、練習以外のことはしたくないみたいになってしまうのは、あまりいいことだと思えない。僕はそれを“集中毒”と呼んでいます。ひとつのことを考えていれば、他のことを考えなくて済むという、逃げでもあるじゃないですか。
――たしかにその通りですね。
谷中 すると、「あんた、また仕事に逃げてるの?」って家族に言われたりして(笑)。それだけになってしまうと、それがうまく行かなくなった時に、すべてなくしてどこかへ消えてしまおうと思ってしまうかもしれませんよね。
そうならないためにも、遊びの感覚やちゃらんぽらんな部分を、自分の常備薬としてつねに持っておく必要があるのかなって。民生さんが意図的にそうしているのかわからないですけど、真面目さとユーモアのバランス感覚はどこかで取ってるんじゃないですかね。
――それはもはやミュージシャンとしてどうかというより、人としてどう生きていくかの話ですね。
谷中 そうだと思います。音楽の魅力って人の魅力ですから。魅力ある人の音楽は、やっぱり面白いですよね。
写真=三浦憲治
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