1ページ目から読む
4/4ページ目

プロポーズを受けての結婚

 高校を卒業した基次さんは、音響の専門学校に入学。卒業後は3年ほど、バンド活動をしながらアルバイト生活をしていた。

 そのあとは倉庫内作業員として働き、24歳の時に、父親の鉄工所を本格的に手伝い始めた。

 やがて30歳の時、インターネットの野球好きが集まる交流サイトで後に妻となる瑠美さんと出会い、すぐに交際がスタート。瑠美さんは高校を出たばかりの18歳で、飲食店に勤めていた。

ADVERTISEMENT

 ところが基次さんが32歳の時、父親の会社が倒産。持ち家だった実家も手放すことになり、両親と共に借家に移った。

 基次さんは、工場関係の仕事を転々とするが、体調を崩してしまう。

「子どもの頃からコミュニケーション能力が低く、手先も不器用だったので、なかなか新しい環境に馴染めず会社の先輩にいじめられたりもして、精神的に病んでしまったんです。そのときは病院には行っていないのですが、今思えばうつ状態でした」

 その後、基次さんは1年ほど実家に引きこもっている間に、インターネットで「心理カウンセリング」を知る。自身の回復のため、そして好奇心を満たすために「心理カウンセリング」を学び、実践するようになった基次さんは、少しずつ回復していく。

 そして35歳の時、「心理カウンセリングを仕事にしたい」と思っていた基次さんは、これまで学んだ知識を活かし、公的機関や福祉施設、企業内でのカウンセリングに従事するようになった。

 その3年後、基次さんが38歳、瑠美さんが26歳の時、基次さんは瑠美さんからプロポーズされる。

「妻を養えるほどの収入がなかったので、かなり躊躇したのですが、妻から『生活費も結婚にかかる費用も折半でいいから』と提案してくれて、それなら自分にもできそうかなと思い、結婚しました」

 交際時から瑠美さんを実家に連れて行っていたため、両親はすぐに祝福してくれた。

 ところが結婚から半年ほど経った時すでに、瑠美さんは離婚を考えていたというーー。