――当時の診断結果は?
藤乃 先生からは「痛みのない中耳炎」と診断を受けて「2週間、この薬を飲んだら治るから」と言われて抗生剤をもらいました。でも、しっかり飲み続けたのに治らなかったですね。
11月に入ってから友だちと旅行へ行ったんですけど、あごの辺りが痛みはじめて、歯の噛み合わせが「前とちがう」と違和感をおぼえるようになって。11月の終わりには、風呂上がりに顔の右側がしびれてると気がついて、頭痛もひどいし「さすがにヤバい」と思って、次の病院へ行きました。
病院から「左側にないものが右側にある」と電話がかかってきて…
――結局、最初に通った耳鼻科では症状がおさまらなかったと。
藤乃 はい。だから次は、脳神経外科でCTを撮ってもらったんです。でも、そこでは「何もない」と言われて、先生にすすめられて口腔外科に行ったんですけど、レントゲン撮影でも「異常はない」と言われました。
――まさに、たらい回しですね。そこから、副咽頭間隙腫瘍だと発覚するまでの流れは?
藤乃 口腔外科の診察を受けて帰ったら、CTを撮ってもらった脳神経外科の先生から「左側にないものが右側にある」と電話がかかってきたんです。「伝えることがあるから翌週に来てほしい」と言われて、痛みに耐えながら行ったら、今度は耳鼻咽喉科をすすめられました。でも、耳鼻咽喉科の先生が診断できるのは「翌週」と言われて、正直、早く症状をやわらげたかったし「はぁ……」となって(笑)。
とりあえずもらった痛み止めも効かないし、頭痛と戦いながら耳鼻咽喉科へ行ったときに初めて「副咽頭間隙腫瘍だと思う」と言われました。でも、その病院では精密検査を受けられないので大学病院を紹介されて、翌週に診断してもらった先生からは「悪性かもしれない」と聞きました。
腫瘍がピンポン球ぐらいに腫れ上がり、抗がん剤治療をスタート
――最初の病院で診断を受けてから2ヶ月近く、その間も痛みに耐え続けて。
藤乃 定時で飲む薬と、緊急時に飲む頓服薬の2種類をもらっていたんです。でも、どれほど飲んでも痛みが引かなくて、薬の副作用で眠気も強くなるのに、眠れないほどでした。ベッドで仰向けになったり横になったりもできず、正座したままウトウトして、15分経ったら痛みで起きるみたいな。「身内や友だちに経験させるのは嫌やな」って思うほど、しんどかったです。