「気がついたら月収が100万円を超えていたりしていた。毎日、メインに出ていると高いギャラがどんどん積み重なっていくので、そうなるんですよ」
かつて女子レスラーのヒールとして一躍、時の人となったブル中野さん。そんな彼女の人生を切り開いたのは、相棒であるダンプ松本さんによって髪型を「半ハゲ」スタイルに変えられたことにあるという。奇抜な髪型によって、彼女が得たもの・失ったものとは? 新刊『証言 全女「極悪ヒール女王」最狂伝説』(宝島社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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「ダンプさんにぶん殴られてよかったと思います」
ブル中野が“ホンモノ”のヒールになるきっかけ、それはいわゆる「半ハゲ」になったことだった。半分だけ髪の毛を剃り上げ、そこに「極悪同盟」「御意見無用」などと文字を書きこむ。スキンヘッドにするよりもインパクトは絶大で、これまで日本の女子プロレスラーでこんなことをした選手は誰もいなかった。
「最初はモヒカンにするってダンプさんに言われて。控室でバリカンを入れられたんですけど、途中で『もう飽きた』って(笑)。本当に飽きたのか、最初から半ハゲにするつもりだったのかは知りませんが、あれで私の人生は変わりました。
だって半ハゲですよ? あんな髪型じゃ、もう普通の生活には戻れないし、プロレスラーとして生きていくしかない。それもヒールとして。あれで逆戻りができなくなった」
こっそり付き合っていた彼氏も半ハゲを見て、離れていった。たしかにまっとうな人生はもう歩めない。いつか髪の毛は生えてくるけれど、それまでの数カ月間は異形の者として生きていかなくてはいけない。
しかし、プロレスのリングであれば、半ハゲは最強の個性になる、武器になる、カネになる。実際、ブルの月収はうなぎ昇りにアップしていった。