あの感動から、ほぼ四半世紀。オスカー受賞作の続編『グラディエーターll 英雄を呼ぶ声』が、ついに公開となる。主演に抜擢されたのは、28歳のアイルランド人俳優、ポール・メスカル。
「父と一緒にオリジナルを見て感動した時のことは、今も覚えている。続編が作られると聞いて、興奮したよ。でも用心もした。本当に実現するのかも、自分が選ばれるのかもわからないのだし。リドリー・スコット監督とオンラインで30分話しただけだったけど、なんと2週間後にオファーされたんだ。もちろん『やらせてください』と即答したよ」
ローマ軍の侵略によって妻を失ったルシアス(メスカル)。奴隷にされ、大衆の娯楽のために戦うグラディエーター(剣闘士)となった彼は、強い復讐の念を抱いている。そんな中で彼は、自分の出生の秘密を知っていくことに。
「脚本には11のファイトシーンがあった。それらの動きをきっちり覚え、こなせるだけの練習をしないといけない。大勢の人に見られる中で戦いのシーンをやるのは、感情的でドラマチックなシーンをやるのと、同じくらいプレッシャーがある。撮影中、楽な日は1日もなかったね」
しかも、スコット監督は早撮りで有名。そのペースについていくためには、完璧に準備をしている必要がある。
「リドリーのテイクは多くても3回。そしてすぐ次に移る。最初のテイクが使われるかもしれないから、一発目から最善を尽くさないと。そんな現場ではみんなが集中していて、すばらしいエネルギーとリズムがあった。この大規模な映画を、リドリーはたった65日で撮影したんだよ。ほかの監督なら、100日かかるだろう」
この映画でメスカルが世界的スターの仲間入りをすることは確実。舞台でキャリアを始めた彼が映画に出演したのは、2021年の『ロスト・ドーター』。翌年の『aftersun/アフターサン』ではオスカー候補入りを果たすなど、驚くほどのスピードでハリウッドの階段を駆け上がってきた。
「ここまでたった3年だったということは、人に言われてようやく気づく。自分でも奇妙に感じるね。この映画は、僕にとって正しい時に訪れた。もっと自信ができた今だから、挑戦できたのだと思う」
その一方で、舞台への愛も忘れるつもりはない。そもそも、ルシアスを演じる話は、プロデューサーがロンドンで『欲望という名の電車』に出ていたメスカルを見たところから始まったのだ。
「映画は監督が、逆に舞台は役者が引っ張る芸術。役者にとって舞台に出演し続けることは重要。僕もできるだけ早く戻っていくつもりだよ」
Paul Mescal/1996年アイルランド、メイヌース生まれ。ダブリンの舞台で俳優デビューし、マギー・ギレンホール監督の『ロスト・ドーター』で映画に初出演。最近の作品に『異人たち』『もっと遠くへ行こう。』がある。
INFORMATIONアイコン
映画『グラディエーターll 英雄を呼ぶ声』
11月15日(金)より全国公開
https://gladiator2.jp/